第209話 別に良いっすけど?

 そして金髪の方の彼女が心底冷え切った声音でそう俺たちに言って来るではないか。


 たったそれだけの事であるにも関わらずまるで喉元にナイフを突きつけられているような、そんな錯覚に陥ってしまう。


 それほど、俺と彼女との差があるという事なのだろう。


 そして彼女は尚も喋り続ける。


「無関係な帝国民を襲って奴隷として売り飛ばす違法行為を国が主体で行っていたのだから当然そこで転がっている国王陛下とやら諸共自分達が行って来た罪を教えてあげる必要があるっすよね? そう、そっくりそのまま異国へ奴隷として飛ばすとかどうっすかねぇ?」

「ど、奴隷とか巫山戯るなっ! そんな事が許されてなるものかっ!!」

「なんでっすか? 自分達がさんざんやって来た事っすよね? なんでそれがやられる側になった途端に嫌だとか言うんすかね? おかしくないっすか?」

「何もおかしな事はないだろうっ!! 我々は選ばれし人の上に立つもの達なのだっ!! さらに野蛮な帝国民どもをわざわざ奴隷として調教までしてやっているというのに何で我々が奴隷になれなければならないんだっ!?」


 そして彼女の物言いに今まで黙っていた公爵家である貴族の男性が地面に突っ伏した状態で叫ぶ。


「無理矢理連れていかれているみんな『なんで奴隷に堕とされなければならないんだ』って思ってるので、これで無理矢理奴隷にされた人の感情が分かったじゃないっすか」

「ふざけんなっ!! 俺を平民と同じにするんじゃないっ!!」

「一緒っすよ。 身ぐるみ剥いでこの国名前なんか知らないような遠い異国へ突き出せばただの人間っすよ。 むしろ着る物すらないのだから君たちが見下している平民よりも下っすね。 それはそこで未だにのたうち回っている国王陛下とやらも同じっす。 親が貴族だから、国王だったから、ただそれだけっす。 例えばそうっすね、今ここでうちが国王陛下を殺してこの国を乗っ取り、貴族制度の廃止にするだけでアンタのいう『人の上に立つ選ばれし人間』とまだ言えるっすか? 貴族という肩書きを奪われたら所詮はただの平民っすよね? なのにどうして『俺は選ばれし人の上に立つ者』だなんて言えるのかウチには全く分からないっす。 それこそウチらのご主人様のようにたとえ肩書きが無くなろうが関係なく人の上に立てるお方でないと恥ずかしすぎてそんな言葉言えないっすわ」


 そして彼女は一旦区切ると噛みついてきた貴族の近くまで行く。


「それと、今アンタだけ殺しても別に良いっすけど?」


 そのたった一言で今までこの状況がどういう事かも把握できておらず噛みついていた貴族は恐怖のあまり泡を吹いて気絶するではないか。


 いったいどれ程のさっきを当てられたのか想像するだけでも恐ろしい。



──────────




皆様のおかげでこの度新しくドラゴンノベルコンテスト用に書かせていただいております新作


● 転生したら奴隷使役と回復のスキルを持っていたので遊び半分で奴隷だけの秘密結社を作ってみた


が総合日間ランキング一位、総合週刊ランキング三位を取ることができましたっ!!


 ありがとうございますっ!!∩^ω^∩やったー






 

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