第99話失礼極まりない
「それで、話っていうのは何だ?」
「そうね、別にこれといって話す事は無いわ」
はい? なんだコイツ?
思わずイラッとしてしまったのだが寸前のところで表情に出るのを抑えられた。
しかしながら俺の周囲の評価は屑であるというのを忘れてもらっては困る。
今でこそここ最近は大人しくしているのだが、今更大人しくしたところで一度地に落ちた俺の評価が良くなるわけもなく、ただ面倒事を増やしたくないという理由で大人しくしているだけである。
俺の存在をあまり目立たなくさせるために大人しくしているだけであり、それにもし評価を上げたいと思っているのならばそういう行動を行った方が何倍も効果があるだろう。
所謂不良少年が少し良い事をしただけで好感度が爆上がりする不正チートツールの使用なのだが、そんな事やるつもりも無い。
なので、ここでカレンドールに嫌われたところでどうでもいいのである。
「ああ、そう。 じゃあ俺はこれで」
「待ちなさい」
「何も話す事は無いんだったら引き留めないでくれないか? 俺も休み時間を無駄にしたくないんでね」
「確かに私は話す事はないと言ったわ」
「ならば──」
「でも話す以外に用事がないとは言っていない」
そしてカレンドールはそういうと、修練場に備蓄品の一つ、入り口にある傘立てのような場所に置かれている木刀を二本抜き出すと、その内の一本を俺へ放り投げてくる。
「? どういうつもりだ。 まさか今からカレンドールさんと木刀で模擬戦でもしようって言うんじゃないだろうね?」
「そのまさかよ。 いいから構えなさい」
「冗談はよしてくれよ。 なんでまた学園順位が魔術も実技も両方とも一桁台を常にキープしている人と模擬戦なんかしないといけないんだよ。 俺の学園順位分かる? 魔術も実技も最下位なんだが? そんな俺がなんでカレンドールさんと模擬戦を? やる必要なんかないだろ。 それこそお互いに時間の無駄だ、時間の無駄。 じゃあそういう事……なんのつもりだ」
はっきり言ってこれに関わるのは面倒事でしかないというのが容易に想像できた為出来る事ならば関わりたくないと思い、この場から去ろうとするのだが、俺の進行方向をカレンドールが持つ木刀によって塞がれてしまう。
流石にこの対応はいくら何でも失礼過ぎやしないだろうか?
屑だと思っている相手には何をしても良いとでも思っているのだろう。
「逃がすと思いますか?」
「まさかカレンドールさんがここまで失礼極まりない方だとは思いもよりませんでしたよ」
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