第87話閑話ー奴隷娘の休日4
そもそも、売れ残りという時点で察してほしい。
あの時の私達は人として見られていなかったのだ。
特にヒューマン以外に関しては差別が激しく、元から人として見られていない節がある。
女なら誰でも良いという男性も確かにいるのだが、奴隷を買えるような人達、特に貴族という生き物は自分の性癖よりもプライドというものを大事にする生き物らしく、奴隷を正規の店で購入すると足がついてしまい他の貴族にバレる為基本的にヒューマン以外の種族を購入する事は少ない。
ヒューマン以外を購入するとすれば変な噂が立たぬように男性であり、鉱山で潰れるまで働かせるなどである。
特にドラゴノイド等の男性は身体が強く、頑丈な為ヒューマンよりも高値で取引される事も多い程だ。
私の場合は貧困街で産まれ、親に売り飛ばされた為、骨と皮だけの身体では売れる訳もなく、といった感じである。
だからこそ、ご主人様によって救っていただいた奴隷達はこの国ではあまり見ない種族の割合が多いのである。
でも、だからこそここでの生活では差別も無く、さらに衣食住の面倒も見てくださるだけでなく、稼いだお金は全額自分の為に使う事ができると、至れり尽せりである。
そもそも、元々死をただ待つだけの存在であったのを助けて頂いた時点で、私にとって、いや、私達にとって神の様な存在へと神格化されてしまうのは仕方のない事であろう。
「ねね? 今日はどこで探してみます?」
「うーん、こないだは武器屋だったから今日は服屋でも見てみる?」
「僕達が選んだ服を、ご主人様が着る……最高じゃないかっ! それは言うなればご主人様が僕達に包まれると言っても過言ではないっ!!」
「そ、想像力が豊かですわね、ガレットさん。 でも、確かに服屋も良いですわね。 ついでにわたくし達の服でも見て見たいですし、何ならご主人様へプレゼントするものと同じものを買えば、これはもはやペアルックと言うのではっ? そして、ぺ、ペアルックと言えば恋人同士の代名詞っ!! こ、これはもう、わたくしとご主人様は恋人同士と言うのではないでしょうかっ!?」
「ガレットも大概だけどメアリーもかなり想像力豊かだよね?」
「そ、そうでしょうか?」
そして、そんな感じで本日行く店は服屋に決まった。
一ヶ月ほど前にブリジットさんからそれとなく聞いたご主人様の誕生日。
その日の為に四人でプレゼントを探すのは、それはそれで楽しいものである。
奴隷商にいた頃には、まさかこんなにも幸せな日々が訪れるとは想像すらする事ができなかった。
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