第86話閑話ー奴隷娘の休日3

 そして私達はそんな優しいご主人様へこの御恩を返してあげるのだ。


 奴隷から稼いだお金を取らない程のご主人様なので、きっとお金持ちだから、稼いだお金をそのまま渡してもあまり喜ばないと思う。


 それよりかは、安くても気持ちの篭もったプレゼントを、とは思うものの、何をプレゼントしたら喜ぶのか全く検討もつかない。


 この件に関してはブリジットさんが聞いているらしいのだが一向に分からないらしい。


 男性であるご主人様には、お金がダメとなるとお酒はどうだろう? と思ったのだが、ご主人様が好んで嗜まれている光景はあまり見ないので、お酒はそこまで好きではなさそうだ。


 そうなれば、異性、すなわち女性、そう、この私自身をプレゼントすればイイのだわっ!! と。 これには私も大勝利案件の為天才的な発想ではっ!? と、思うものの、そもそもここの奴隷である私は既にご主人様に買われた身であった事を思い出す。


「ねぇ? 何にするか決めた? アンナ」

「まだ。 さっぱりです。 ガレットは?」

「僕も全く思いつかないよ。 いっそ私の身体を、とは思ったけれども、そもそも私はご主人様のものだしね」

「あら、それ私も思ってたんですけれども、確かに言われてみればそうですわね」

「なんだ、みんな一度は自分を差し出して、抜け駆けしようと思ってたんだ」

「ばっ! ぼ、ボボボボ、僕は違うからなっ!!」

「顔、真っ赤ですよ。 ガレット」


 なんだかんだで皆んな考える事は同じのようで、そして何をプレゼントして良いか分からないのも同じらしい。


 しかし、三人寄れば何とやらとも言うし、その為の今日なのだ。


 街で何かご主人様が好きそうな物があれば良いのだけれども。


 そんな事を思いながら私達四人は街をぶらぶらとお喋りしながら散策する。


 その間、街の男性陣達から熱い視線を向けられるのだが、やっぱり皆んな美人だしなぁ。


「やっぱり、みんな僕と違って美人だから男性の視線がすごいね」


 は?


「いやいや、何を言っているんですかガレット。 身長も高くてすらっとしたスタイルの良い身体、長い足に大きな胸。 そして何より整った中性的な顔立ち。 私なんかよりもよっぽど目立ってますって」

「ジェシカもなかなか美人じゃない。 何を他人事見たいな事を言っているのよ」

「あら? アンナさんも大概ですわよ?」

「「「「…………」」」」


 そして、一瞬の沈黙の後皆んなで笑い出す。


 結局皆んな自己評価はかなり低いみたいだ。


 当たり前である。


 ここにいいるみんなは一度奴隷に落とされてるのだ。


 しかも性奴隷ですら無い、単なる魔術行使や研究の道具としてである。

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