第34話胃が痛い
◆
そして俺はこのまま朝食を食べ終えると、この場の指揮はメリッサに任せてブリジットと共に学園へと向かう。
向かうのは良いのだが、ブリジットが一向に俺から離れようとしないではないか。
このまま二人一緒に登校でもしたら何を言われたものか分かったものではないし、俺の悪名が高い分、ブリジットへも罵詈雑言、誹謗中傷その他数々の嫌がらせ等が飛んでくる可能性だって高い。
「なぁ? そろそろ離れた方が良いんじゃないか?」
「……え? どうしてですか?」
その他学園に近づいて来た所でブリジットへ離れるように言ってみるのだが『何故離れるように言われるのか理解できません』という表情をしてコテンと首を傾げた後、そのままそれをブリジットが言葉にして返してくる。
「いや、俺と一緒に登校したところを見られるのはブリジットだって嫌だろ?隷属したからと言って嫌な事を無理やりさせたくないと思っているし、俺の顔を伺ってする必要も無い」
「……? な、なら一緒に登校して大丈夫ですねっ!」
おかしい。
確かに俺たちは帝国で一般的に使用されている標準語で会話をしているはずなのだが、会話が出来ている気がしない。
「一緒に登校をすれば俺に降りかかる火の粉でブリジットまで巻き添えを喰らいかねないんだぞ?」
「むしろ望むところです」
「俺に弱みを握られてあんな事やこんな事を強要させられているというありもしない噂を流されかねないぞ?」
「あ、それは私にとっても好都合なので流しまくりましょう。 私が望んでご主人様の奴隷へと堕ちたという違いはありますが概ね当たってますし、なんならその噂の真実味を持たせるためにあんな事やこんな事を今晩にでも早速行いましょうっ!!」
「なんでそんなに嬉しそうなんだよっ!? てか近い近い、胸を押し付けて来るなっ!!」
「まったく、何を恥ずかしがっているんですか? ご主人様。初めてが怖いならそう言えばいいじゃないですか。大丈夫ですよ。なぜならば私も初めてですからっ!!」
「違うわっ!! てか今までただの隣の席のクラスメイトという感じで過ごしていたのに何で今日になってこれなんだよっ!!」
「え? だって昨日ご主人様が私の好きなように学園生活を謳歌してもいいって仰ってくれたじゃないですか」
解釈の違い。
意思疎通ズレ。
認識のズレ。
報告連絡相談を口酸っぱく、いくつになっても言われ続けていた理由を今思い知らされるとは……。
俺は赤の他人としてではなくて今まで通り『単なるクラスメイトの一員』としてという意味であったのだが、ブリジットにとってはそうではなかったようである。
胃が痛い。
どうしてこうなったと、頭を抱えそうになる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます