第79話 俺側の人間
そう俺が突き放すと元嫁はみるみる顔が青ざめて行くのが分かるのだが、それでもどこか余裕がある表情をしており、キッと俺を睨み付け、口を開く。
「あぁそう。 そうですか。 ふーん、そんな事言っちゃうんだ。 でも、残念ね。 いくら私が浮気をしていようが、浮気をしても仕方ない環境であるのならば、私からの慰謝料は取れないわよ? むしろアンタの方が私に慰謝料を払う羽目になるかもねぇ」
そして元嫁は勝ち誇ったような表情で見下しながら、喋る。 いや、実際に元から見下しているのだろう。
でなかれば長い間俺にこんな仕打ちをしてこないし、経済DVをでっち上げて訴えるなんて事もしなかったはずである。
なぜこんな奴に今まで騙され、虐げられながら生きてきたのかと、コイツとの結婚生活は後悔でしかない。
「丁度、ここに弁護士さんがいるし。 ねぇ弁護士さん?」
「はい、なんでしょうか?」
「もし経済DVされていたとして、その人が不倫したとしたらどうなるのかしら?」
「そうですね、その場合ですと婚姻関係の破綻していると思われますので不倫してもお咎めは無いでしょう。 むしろ場合によっては慰謝料を貰えるかと思われます」
そして元嫁は、経済DVをされていたと仮定して行為う場合はどうなるのかを
はっきり言って元嫁がここまでバカだとは思っていなかったのだが、俺の弁護士の話を聞いた元嫁は勝ち誇った顔をしており、その頭の中は間違いなく慰謝料の請求額を計算し、その後の散財する未来を思い描いているのであろう事が手に取る様に伝わってくる。
しかしながら、この弁護士さんは俺が雇った弁護さんであり、言わば今回はこの作戦を練り上げた参謀であり、俺側の人間であるのだ。
普通に考えればそのような人に相談した場合どうなるのか少し考えればどうなるのか分かりそうな物なのだが、分からないのだから今この地獄一歩手前まで来ている事にすら分からないのだろう。
「やったやったっ!! 慰謝料までゲットできるなんてラッキーだわっ!! 何百万円ブン取ってあげようかしらっ!」
「では慰謝料は何円請求しましょうか?」
「んーー……っと、そうね。 さっきこのバカが私に浮気で五百万慰謝料請求するって言ったから、私も同じ五百万円請求するわっ! 行けるかしら?」
「ええ、大丈でしょう。 五百万円、経済DVの慰謝料で請求ですね。 では、そのように行きましょうか」
「さっすが弁護士さんっ!! 頼りになるわねっ!!」
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