第71話 グルであった

 元嫁のレシートからは相変わらず昼と夜の高いご飯代が記載されたレシートなのだが、それらに混じって何故か時たま二人分の料理が記されているレシートがある事、たまに男性用の衣服などが記載されているレシートがある事、極め付けはラブホテルのレシートまで出て来た事である。


 この時ばかりは元嫁を殺そうと思ったのだが、このゴミのせいで俺の人生が終わると思うのは嫌だと思ったい、とどまる事ができた。


 どうせ終わらせるのならば元嫁関係などではなく、俺自身で終わらしてやろう。


 それが元嫁に対する最後の復讐だと。


 しかしながら元嫁により俺自身が経済DVをされている今現在、とてもでは無いが弁護士も雇うお金もなければ決定的な証拠を集めるための興信所や探偵を雇うお金なんてとてもでは無いが用意する事すらできないのもまた事実であったのだが、だからこそ元嫁はそれが分かっているからこそ、俺へ大きな態度を取ることができ、脇も甘かったのだろう。


 そのお陰で油断しきっている嫁の目から隠れて、自転車に乗って三時間漕いだ先にある実家に行き、俺は初めて両親の前で泣きながら土下座をして金の無心をした。


 両親へ土下座と金の無心、そしてその理由が理由の為、コレ程惨めで情けないと思った事は後にも先にもその日だけである。


 当時両親は『あの元嫁が?』と驚いていたのだが俺の必死な態度を見てか最終的には信じてくれて、興信所と弁護士の依頼料を立て替えてくれた。


 この時を思うと本当に両親には頭が上がらない。


 そして、興信所に頼んで分かった事なのだが、間男は俺の上司であったと知った時は嘘だと思い、なかなか受け入れる事ができなかった。


 しかし、その事を受け入れる事ができた時、俺は怒る事よりもホッとしていたのだ。 『これで元嫁と別れる事ができる』と。 


 この時既に俺はとっくの昔に狂っていたのだろう。


 しかしながら別れる事ができると安心したとはいえ、嫁への怒りが消えて無くなるわけがない。


 元嫁にはきっちりと自分のしでかしたツケを払って貰わないと今まで苦しんできた俺自身が報われない。


 そして、ついでに興信所には元嫁と義理家族の豪遊(今の俺の生活から考えれば)している調査と証拠の入手依頼をしたのだが、そこで間男でもある俺の上司と義理実家が一緒にディナーを取り、仲良さげに話しているという連絡と、その証拠の写真も入手できた。


 そう、この浮気は義理実家もグルであったのである。


 どこまで俺を馬鹿にすれば気が済むのか。


 もはや元嫁、真男、義理実家には少しの慈悲すら残っていなかった。

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