第69話 依存しかけていた

 どうしてこなったのか。


 結婚する前には確かに少し引っかかる所があったのは確かである。


 友達ど電話するとき、元妻は偶に人が変わったように口調や態度が変わり罵声を浴びせていた光景を何回か見たことがあったのだが、おそらくアレが元妻の本性であったのだろう。


 下に見た人はとことん攻撃的になり、自分の言う事を聞かせようとする。


 自分の言う事を聞かなければとことん追い詰める。


 そして、その人以外には外面が物凄く良いため、他人に訴えた所で信じてもらえない所がこちらが元妻をいじめようとしているという加害者にいつの間にかされているのだ。


 それは俺も同じであり、結婚した瞬間に元嫁の中での俺のポジションが変わり、元嫁より下という認定をされたのであろう。


 その時の元嫁の変化にも気付いていたのだが『結婚すれば変わるところもある』『きっと家庭を守ろうと必死なのだろう』と思っていた当時の俺を殴ってやりたい。


 そして、経済DVをでっち上げられた俺の生活はならなる地獄の生活へと変わっていく。


 真っ先にされたのが小遣い半額カットの五千円である


 それにより会社で食べるお昼は数本入ったスティックパンを数回に分けて食べ、業務用スーパーで買い置きした安い缶コーヒと一緒に食べるようになった。


 当然同僚と外食などできなくなり、少し孤立気味になる。


 酒もタバコもしない俺にとっては昼食や勤務終わりの外食が唯一の、同僚とのコミュニケーションの場であったのだから徐々に孤立していくのだが、それは同僚の話だけではなく友達に対しても当てはめる事ができた。


 そして気が付けば友達とも遊ばなくなり、本やゲームを買うお金もないので家に帰るとスマホで動画をイヤホンで聴いた後夜の公園で時間を潰して帰ってねるの繰り返し。


 スマホで動画鑑賞もイヤホンをつけなければ煩いと嫁が怒り、見続けても有る事無い事罵ってくる、そんな生活である。


 そして当然、外面街だけは物凄く良い嫁であるためこの事を友達に相談しようにもまず信じて貰えず、俺が悪者になるのだから相談できる友達もいない。


 それでもまだ俺は『もしかしたら気付かないうちに俺は嫁を傷つけるような事をしたのかも知れない』『だからこんな事をするんだ』と思っていたのだが、今考えるとこの頃には嫁に依存しかけていたのだろう。


 会社内でも、友達関係も孤立して、嫁しか頼る存在がいないのだからそうなってしまうのは、馬鹿だと思うものと同時に致し方ないとも思う。

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