第53話 『幸せ』
そう思うと急うに緊張してきた。
そう、今私は新谷さんと二人っきりだし、同棲をしているのだ。
恥ずかしさとか勿論あるのだが、それ以上に嬉しいと思ってしまう私がいるわけで。
恥ずかしいわ緊張するわ嬉しいわで私の感情がキャパオーバーしそうである。
それでも、新谷さんが私を一人の女性として見ていない事も知っているし、人間、特に女性が怖いという事も知っているので、変な緊張感というのはあまりないのが救いでもあり、少しだけ寂しくもある。
だがしかし、生物学状で見ると新谷さんは男性で私が女性である限り、そこにはもしかしたら何かが起こるかもしれないし、そして何よりここ最近では新谷さんの人間の苦手意識というのも少しずつ改善しているのでもしかすれば万が一という可能性もあるかも知れないと思ってしまう私がいる。
そして、まさか自分の中にそういう部分の私がいた事にも驚きである。
しかしながら、そうレト同時になんだかんだで私も動物でありそういう本能的な部分はあるんだなと冷静に判断しようとする私もいる。
「本当に大丈夫?」
今日だけで様々な感情や自分自身の発見があり、そえらを上手く制御できない姿を新谷さんに心配されてしまう。
「や、も、ほんと大丈夫です。 大丈夫、大丈夫」
もし今のこの状況が新谷さんのせいであると知ったら、間違いなく新谷さんはここから出ていくだろう。
だから、私のこの感情の事は悟られてはいけないのだ。
それこそ、特にこの好きという感情は最低でも私が高校を卒業するまでは知られてはいけない気がする。
変な所で真面目なのでが良い所でもあるし私も安心して過ごせている反面『少しくらい』と思ってしまう。
それでも人間という生き物は慣れてくるもので二時間もすれば新谷さんといつも通りに接することができ始めるのだからすごいものだ。
これが荒治療というものなのかも知れない。
兎には角にもいつも通りに接する事ができて胸を撫で下ろすのだが、それでもやはり心の片隅では常に新谷さんの事を意識している自分がいる。
あぁ、そっか。 人を好きになるってこういう事なんだ。
良く『好きな人ができれば四六時中その人の事を考える』なんて言葉を耳にすることがあるのだが、それがどういうことなのか何となくではあるものの理解できた気がする。
そして、好きな人の事を考えているこの時間が、ケーキを食べれて『幸せ』だとか、友達と遊べて『幸せ』だとか、そいう『幸せ』とはまた違った種類の『幸せ』を感じるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます