#06

ステータス ********************************


職業:カリスマ独裁者の俺(♂)

年齢:48歳。


LV  :  102


HP  :  196

MP  :  172

攻撃力 :   77

防御力 :  116

スタミナ:  205

素早さ :  113

賢さ  :  336

幸運  :  726


所持スキル:

弁舌【黄金級】

演説演出【黄金級】

不眠不休適正

カリスマの神

メンタル強化

不屈適正

一喝の極み


**************************************


 この神がかったステータスを見た時、驚いて、ため息が漏れた。


 売れっ子芸人時代、遊びで様々な者に変身してみたのだが、どれもこれも、このステータスを超えるものはなかった。むしろ、このステータスが人間離れし過ぎているだけで他のステータスも目を見張るものがあったわけなのだが。ともかく、だ。


 俺は神ステータスを手に入れ、選挙に出馬。


 芸人としての知名度もあったし、何よりもステータスが俺を政治の表舞台に引っ張り上げる。所属する党を自分で作り、党首になり、トントン拍子で、その党が与党第一党となる。そののち国家の最高位である総理大臣に昇進。この間、三年ほど。


 そして、……総理大臣から独裁を基本とした大統領に転身する。


 憲法を廃止して新しい憲法を発布する事で。


 俺が所属する国は目論み通り独裁国家へと生まれ変わったのだ。


 無論、それを成すだけのステータス値は在ったし、スキルも在った。いや、裏を返せば、それが出来なければ変身能力は張り子の虎だとしか言えない。ゆえに、なんの問題もなく、まったく努力もする事なく、苦痛も感じる事なく、国家を掌握した。


 そして、


 世界征服に踏み出す。


 軍事力を強化してから、核開発を達成したのち、隣国へと侵攻。


 長い間、大きな戦争がなかった世界は脆かった。隣国も隣国の隣国も遠き大国ですら隙だらけで(※変身後のステータスやスキルによって隙が見えたとも言えるが)、楽々と大半の国の占領を完了。残った十数ヶ国も我が国を畏れて、こぞって恭順。


 ここまでで七年余り。


 そして今日という日。


 俺は統一した世界でのトップとして演説を行う事となっている。


「うむッ。これで、ようやく全てが手中に収まった。まさに変身能力さまさまだな」


 努力らしい努力もせず、変身頼りで、だな。


 誰もいない執務室で独りごちる。感慨深く。


 俺の時代がきたのだ。


 と……。


 そして、


 独裁者のお次は神だと変身を試みるが、とても残念な事に、神にはなれなかった。


 多分にだが、あの怪しい紳士君(悪魔)の力を超えるものには、なれないらしい。

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