第87話地味娘シリーズ
もし神という存在がいるのならば、俺のこの境遇について、どうしてこのようにしたのかを問いただした上でまともな女性を近くに配置して貰うように直訴してやりたい気分である。
多くは望まない。
美人でなくてもいい。
スタイルが良くなくてもいい。
ただ、暴力は振るわなくて、計算高く無駄に頭の回転が速くなくて、人を拉致監禁しないような、そんな女性でいいのだ。
そんな事を思いながら俺は楽しそうに会話をする高木さんを見て思う。
これって助かったんだよな? とその事についてはわざわざここまで助けに来てくれた麗華と彩音には感謝しかないのだが、どうして俺の居場所が分かったのか、その事だけは考えてはいけないと俺の第六感がそう強く告げてくる。
「もう、何勝手にクラスメイトの女の子に拉致られているのよ?」
「ご、ごめん……」
「まぁ、今回ばかりはスタンガンを使われていたみたいだし、高木さんのご両親もここ最近高木さんの不審な行動には疑問に思っていたから真夜中だし寝ていたであろうに快く家の中に入れてもらえたからこそだから良かったたものの……凄かったわよ? 彼女の部屋。 防音設備も出来てたし、共働きとはいえまさか娘が男子生徒を拉致監禁していたとは思ってなかったみたいだし。 まぁ、普通はそんな事思わないからこその大胆な犯行を行えたのかもね。 灯台下暗しってやつね。 でも、本当に健介が無事で良かったっ!!」
そして、おそらく喋り続ける事によって泣く事を我慢していたのであろう彩音であったのだが、結局我慢できなかたみたいで涙を流しながあ俺に抱きついてくる。
そうだ。
普段の腕力から繰り出される暴力で分かりづらいかもしれないのだが、彩音といえど女子高生なのだ。
スタンガンを持っている犯人を相手に……ん? 何で高木さんが俺をスタンガンを使って拉致った事を知っているんだ? いや、これは考えてはダメなやつだ。 忘れよう。 うん、そうしよう。
思わず抱きついてきた彩音を抱きしめようとしていた俺の両手は、抱きしめる前で止まってしまうのだが、仕方ない。 仕方ないんだ。
「本当、健介のスマホに遠隔操作アプリと現在地送信アプリを入れておいて、本当に良かったっ!!」
なんだ。
ここ最近俺のスマホの電池の減りが地味に早かったのはこれが原因だったのか……。
いや、ちょっと待ってほしい。
遠隔操作ということは……ま、まさか……。
「な、なぁ彩音?」
「……何?」
「その……地味娘シリーズって知っているか?」
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63話の最後にて一文追記しました(*'▽')
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