1度死んだ俺、同級生と入れ替わってまで幼馴染のことを見守る

@Rin2004

第1話俺、死ぬ

いつもの昼下がり、俺は購買で売られている1日15個限定のメロンパンを入手して浮かれていた。

「ふんふふ〜ん。」

つい鼻歌を歌ってしまうほどには浮かれていたんだろう。そして、上から降ってくるものにも気づかないほどに……

「うわぁぁっ!!」

そんな叫び声が聞こえた途端、俺の視界は急に暗くなり、意識も遠のいた。




「……うっ…ここは…」

俺は目を覚ました、急に入り込む光に目が暫し傷んだ

そして目の痛みが引き光にも慣れた頃、ふと横に女の子がいることに気づいた。

「だれだ…この可愛い子は……俺の知り合いではない…よな。」

まだあどけなさが残る顔、華奢な体、眠っている口からはヨダレが出ていた。

状況がいまいち分からない俺は気持ちそさそうに寝ている彼女を起こすことにした。

「おーい、寝てるとこすまないが、起きてくれないかー。」

なにか声に違和感を感じる、まるで自分の声ではないような、そんな違和感を

「んぅ……んん…んぁ…?」

少し唸りながら、目を擦りながらも彼女は目を覚ました。

「…お兄ちゃん?、、、お兄ちゃん!!起きたんだね!」

「んえ?!お、お兄ちゃん??え?君が?俺の?」

「俺??…どうしたのお兄ちゃん…」

なんとこの少女は俺の妹だと言うのだ、俺一人っ子なのに…

「頭を打ってたもんね、ちょっとお医者さん呼んでくる!」

そう言って少女はドタバタと部屋を出ていった。

1、2分がたった頃だろうか、妹らしい少女と医者が病室に走ってくる足音が聞こえた。

勢いよくドアを開けた医者が、

「伊織くん!目を覚ましたようだね!」

「い、伊織??…」

俺の名前が伊織?どうなってるんだ??

「あぁ、まず状況を説明しようか。

君は2日程眠っていたんだよ。」

2日か…結構眠っていたみたいだな……

「君は2日前、足を滑らせて階段から落ちたようで、頭を打ちこの病院に運ばれてきたんだ。」

俺が階段から落ちた……いや、これは俺の体ではなく伊織とやらの体なのだろう。

俺には階段から落ちた記憶なんてないからな。

「なるほど」

「そこで、不幸にも君が落ちた下に人がいて、高市湊くんって言うんだけど、その子が巻き込まれてしまって頭の打ちどころが悪く亡くなってしまったんだ…」

「えっ……」

驚く程に間抜けな声が出た、それもそうだ

自分が死んだなんてことを知らされれば誰でもこうなるだろう、しかし何故だろう。

驚いてはいるが怖いという感情はなかった。

「…で……君………助か……」

他の体で生きているからだろうか、実感がないからだろうか。

そんなことより、こっちの体の持ち主の魂?

はどこに行ったのだろうか……

「聞いているかい?伊織くん。」

「あっ、はい…」

「相手の方が亡くなってしまったというのは信じ難いと思うが真実だ。目が覚めてすぐだと言うのにこんな話をしてすまない、しかし遅かれ早かれしなければいけなかったんだ。」

「いえ…大丈夫……です。」

怖くはないとはいえ、心の整理は必要だ、

これから少し考える時間か欲しい。

「すみません、やっぱり少し1人の時間をくれませんか?」

「あぁ、昼になったら看護師の人がご飯を運んでくれるから……1人でゆっくりしていてくれ。」

医者に気持ちが伝わったのだろうか、そう言って医者は足早に病室を出ていった。

「お相手の方には失礼かもしれないけど…お兄ちゃんが生きててよかった……ほんとに…」

「あぁ、そうだね…」

俺はお兄ちゃんじゃないんです……。


そうして妹?も1度家に帰った。




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