寝坊

 いつまでもこの情熱は続く。対面にいるあの人は僕の腕を狙っている。僕は一寸も動けない

、睨んで、首なんていつでも噛みちぎれるように。これがどういう経緯なんかはもうとっくに忘れてしまって、だけど何かすごくどこかに浮遊していくような気がするのです。何かに覆われて安心していくようなそんな気がするのです。どこか居心地が悪くて、居心地が良いような、退屈なんて死語として、そんな言葉なくなったかのようで、本当、なんでもできるような、情熱がもう目の前まで飲み込もうとしている。それなのに、僕の体だけ浮遊していくのです。あの永久的な安心した情熱の影はうすれていって、形ははっきりとそこにあるというのに。冷たい堅いのが、冷たい柔らかいのが、冷たい明るい光が、きているのがわかりました。まだ戻れるのです。あの永久な情熱に、あの人の首なんて。

 かるく散り散りに消えていく情熱。愛が何か分れたような気がするあの空間。まだ戻れるのです。まだ戻れるのです。愛が何かまた、一から知ればいいのです。こんな形式になんてわからない、あの全速の情熱は。ああ。ああ、ああ、ああ、冷たい堅い柔らかい奴が。


 叫声は止まない。叫声は止めない。‼︎‼︎


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