依頼

♪~


『篠崎響子様に1件の提案・相談がございます』


「あ、珍しい…」


着信音が鳴り、スマートフォンの画面には私に仕事の依頼が来た事を知らせる一文が通知された。


当時の私は本業の他に、フリーランスでライター業をかじっていた。実際のところ実績なども皆無に等しいので、あくまで趣味の領域を超えない程度。

クラウドソーシングのサイトに登録し、自分のスキルを提示してそれに興味を持ってくれた依頼主から仕事を頂く。そんな事を続けている時に舞い込んで来たのが


『七不思議に関する調査』


というものであった。


「七不思議って…、学校で聞くあれよね?」


依頼の内容は、


・廃校となった小学校の七不思議が今でも存在するのか

・存在するとするなら、七つのうちいくつ存在するのか

・まとめた内容を提出するまでが本契約とする



正直、ホラーとか怖い話が苦手な私はこの依頼を辞退しようかと思っていたのだが、取材をしに行く学校の住所を見て、地元の小学校だったという事もあり興味が湧いてしまった。


『篠崎響子様、早速のご連絡ありがとうございます。

依頼内容も確認頂けたと思いますので、当日お会い出来る事を楽しみにしております。

報酬並びに交通費なども全て当日に直接お渡し致しますので、よろしくお願いします。』


「え、報酬が手渡しなの…?」


こういう案件は、仕事が終わった後に提示していた金額と渡される金額が違ったり、その場で値切り交渉してくるなんてこともある。

ますます仕事を受けるんじゃなかったと後悔したが、忙しい事を言い訳にしてまともに実家へ顔を出していなかった事もあり、最悪の場合は両親の顔を見るために帰ったとでも思う事にした。

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