第19話「奴隷の鍵」
俺達3人は街を見て回っていると服屋を発見したので、服屋に入っていく。
服屋は外にも服が沢山並んでいて、店内に入るとそこには、40代ぐらいのガタイがすごいオッサンがいた。金髪で身長は190超えてるんじゃないか?デカすぎる。どうやらここの店主のようだ。俺は店主に声をかける。
「すまない、大人用と子供用の服を探しているんだが、何かいいものはあるか?」
「いらっしゃい。あんたここら辺では見ない顔だな。冒険者か旅人かい?」
「あぁ、そうなんだ。最近この街に来たばかりでな。」
「そうかい、子供用の服ってことはあんた
子連れか?」
「俺の子供ではないが一応子連れだな。」
そういって、俺はアルシャとシリアを呼んだ
「2人とも、中に入ってきてくれ。」
「はーい」
2人が入ってきた瞬間、店主の目付きが変わる
「すまない、大事な話をお前にしたいんだが、2人を外に出してくれるか?聞かれたらちとマズイんだよ。」
「そうか、分かった。」
俺はそう言われて2人を外に誘導する。
「呼んだところ悪いんだが、もう少し外の服でも見といてくれ。」
「分かりました。」
そうして2人を外に出した。すると店主が俺に向かって問いかける。
「おい、あの2人もしかして奴隷じゃないのか?この街では奴隷に物を買ってやったり出来ないんだぜ。」
「そうなのか?俺はこの街に来たばかりでな。でも、そんなのおかしいだろ。」
怒りをあらわにする俺に店主は言う。
「全くだ。俺もそう思うぜ。奴隷である前にみんな平等な人間なんだ。だが、これが今のこの街の現状だ。奴隷を連れてる奴は捕まって処刑されるし、それを知ってて黙ってた奴だってタダではすまねぇ。」
「だが、あの二人は奴隷じゃない。そうなる前に俺が助けたからな。」
「おい、それはいったいどういう事だ?」
俺はアルシャとシリアとの経緯を話した。
「なるほどな。そんな事があったのか、よし、俺がお前らに合う最高の服をプレゼントしてやるよ。昔から見る目だけはあるんだよ。服を作ってる奴にもそこを買われた。」
「ありがとう。でも、服はあんたが作ってるんじゃないのか?」
そう聞くと、店主は笑いながら言う。
「そんな訳ないだろ。こんな戦いにしか興味のなかったおっさんが服なんて繊細なもの作れるかよ。ハッハッハッ」
「やっぱり、昔は冒険者だったのか?」
「あぁ、一応Sランク冒険者してたぜ。」
Sランク冒険者って、最高ランクだったはずだよな。つまりこのおっさんめちゃくちゃ強いじゃねえかよ。
「Sランクって事は強いんだな、あんた。」
「まぁな。だけどもう辞めたんだ、冒険者」
「そうなのか、詳しくは聞かないでおくが、あんたレベルも高いし今でも現役だろ?」
「ステータスを確認出来る能力か、戦おうと思えばいつだって戦えるさ。守るもんのためならな。とりあえず、子供の服だが、首の奴隷紋が見えないような服にしておくぜ。」
「あぁ、何から何まですまない。」
「いいんだよ。お前みたいな奴は好きだぜ。」
そんな話をしながら服を選んで貰っていると外から悲鳴が聞こえた。
「助けて、お兄ちゃん!」
その声は間違いなくシリアとアルシャの声だった。俺は急いで外に出ると、そこには身長のでかい黒ずくめの男が立っていた。
黒ずくめの男が話しかけてくる。
「よぉ、あんたが鍵使いか?こいつらが世話になったなぁ。」
「お前、一体何者だ?」
「なぁに、お前が消し炭にしてくれた、黒ずくめ達の親玉さ。」
「助けて、この人私たちを売る気だよ!」
「チッ、うるせぇな。少し黙らせるか」
「騒音(ノイズ)」
「アァァァァァ!!!」
男のスキルだろう、アルシャとシリアが叫んだと思うと、意識を失ったのだ。
「お前!2人に何をした!」
「そんなに怒んなよ。頭にノイズを流して気絶させただけだぜ。」
「2人を離せ!さもないとお前を消し飛ばす」
「ふん、無理だと思うけどなぁ。ここで戦う意味もねぇし、おさらばさせてもらうぜ。」
そうして男は2人を抱えて走り出す。
「待て!
俺は確かに締錠を使った。だが、その男は止まるどころかスピードを上げて走り去っていった。何故だ!範囲内にもちゃんと入っていたし。レベルも締錠単体での発動だから大丈夫なのに。俺はすぐに追いかけようとしたが、男が反撃してきた。
「壁設置(ウォールクラフト)」
「何!?クソっ、
壁を壊して周りを見渡すが男の姿はない。
俺は絶望し、地面に何度も手を打ちながら涙を流すのだった。
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