第7話
「フランクリンさん……」
アリスは驚いた。
「フランクリン……」
ライアン王子も驚いていた。
フランクリン・ウェルトは、ライアン王子直属の兵で、最も優秀な人物だ。
フランクリンと共に、彼の部下であるエドワードとフレデリックもいた。
「ようやく見つけましたよ、ライアン王子。いつもと恰好が違うので、最初は別人かと思いましたよ。まさか、アリス様と一緒だったとは、驚きました」
フランクリンは、エドワードとフレデリックを廊下で待たせ、部屋に入ってきた。
どうしよう……。
アリスはこの国を追放された身だ。
それなのに、この国にいることがバレてしまった。
彼は王宮に戻ってこのことを報告するだろう。
そうすれば、当然侯爵家にもこのことが知れ渡る。
また、命を狙われることになってしまう。
「やはり、アリス様と一緒にいましたか。何か、事情があるのでしょう? 話してください。私は、お二人の味方です」
「フランクリン……、僕たちを見つけたのが君でよかったよ」
どうやら心配は杞憂だったようだ。
アリスは、自分の命が狙われていることをフランクリンに説明した。
それを防ぐために、ライアン王子が動いてくれたことも。
彼はここでアリスとライアン王子を見つけたことを、報告しないと約束してくれた。
エドワードとフレデリックも、信頼できる部下なので大丈夫だそうだ。
これで、命を狙われる心配はなくなった。
さて、これで最初の問題に戻る。
どうやって、アリスに殺し屋を差し向けた人物を特定するか。
あの三人に事情聴取しても、きっと無駄だろう。
証拠はないので、何も話さないに違いない。
本人が殺しに来るなら、その場でとらえればいいが、殺し屋を捕えたところでどうしようもない。
数年か、長くても十年で監獄から出てこられるし、誰に依頼されたのか口を割らないことを引き換えに、多額のお金をもらっているだろう。
殺し屋を一人捕らえたところで、また違う刺客を差し向けるに違いない。
何度も命を狙われると、さすがに防ぎようがない。
命を狙っている本人を捕えないと、根本的な解決とはいえないのだ。
アリスは解決策が何かないか考えた。
誰が殺し屋を雇ったか特定する方法……。
「……あ! 閃きました!」
アリスの言葉で、ライアン王子とフランクリンがこちらを向いた。
「あの、誰が私の命を狙っているか、特定する方法を思い付きました」
「本当ですか? アリス様、教えてください。私にできることがあれば、何でも協力します。もちろん、エドワードとフレデリックも協力を惜しみません」
「アリス、どうやってあの三人の中から、君の命を狙っている人物を特定するんだい?」
「とても簡単な方法ですよ。でも、それにはフランクリンさんたちの協力が必要です」
「ええ、何なりとお申し付けください」
「では、説明します。その方法はですね──」
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