第4話自爆

部室に入ると、武蔵丸こと田嶋がびっこ引いて歩いていた。

「どうしたんですか?先輩」

水原が心配する。

「昨日、帰りに歩いていたら激痛が右足の裏からして、良くみると画ビョウが刺さっていたの。すぐに治るよ、水原さん」

「痛そう。右足使えないで三道大会出れますすか?」

「う~ん、補欠でいいの」

「えぇ~」


このやり取りを聞いていた、ヒロキはニヤリとした。先ずは1人目の復讐を果たした。

次は本丸、キャプテンの西正樹だ!

この日、 ヒロキは妹の部屋からあるものを拝借した。


「おいっすー」

「あ、キャプテン」

「あのさ~、今日は1年は安土あづちの成形してよ、俺らは的の手入れするから」

「はい」

そこへ、ヒロが近付いた。

「キャプテンおはよー」

「ヒロちゃん、おはよー」

「ねえねえ、キャプテン。話があんだけど」

「なになに」

ヒロキはひっそりと耳打ちした。

「えぇ~、そんなこと出来ないよ~」

「頼む、チームの為、そして僕の一生のお願い」

「わ、分かったよ」


「キャプテン、安土の成形終わり……!キャー」

1年、2年の女子が悲鳴をあげた。

「な、何しているんですか?キャプテン」

正樹は上半身裸で、女物のパンツを頭から被り、ブラジャーを着けていた。

「変態仮面だよ!」

郡山が、

「それ誰の、パンツとブラジャーですか?」

「こ、これ、借りもの」

「でも、裸のキャプテン初めて見ました。胸板厚くてカッコいいですね」

「えっ?僕は変態仮面だよ!」

ヒロキは思わぬ展開に驚いた。

「先輩、カッコいいです」

「わたしも、カッコいいと思います」

「あ、ありがとう」

正樹は更衣室に向かい、道着に着替えた。


まさかの展開に一番驚いたのは、ヒロキだ。

しかし、ヒロキも脱げばカッコいい。弓道歴3年弱だが腹筋、胸筋はきたえられた。

ヒロキは背水の陣で、パンツを被りブラジャーを付けた。

「じゃんじゃじゃーん、変態仮面2号!」

「キャー、変態仮面2号だって」

「僕の腹筋、スゴいだろ?」

「それより、その下着誰のモノですか?」

「えっ、これっ?妹のだよ」

「妹さん、かわいそう」

そこへ、あの武蔵丸がびっこ引いて近付き、

「あんた、相当な変態ね」

「僕だけじゃない、キャプテンもしたじゃないか!」

「キャプテンはバカよ!でも、あんたは変態よ!私のスニーカーに画ビョウ入れたのあんたでしょ?」

「し、知らねぇーよ!」


ヒロキは思った。キャプテンはバカとして、受け入れられ、変態は許容範囲以外なのか?ならば、バカなことしよう。ヒロキは、キャプテンの家庭菜園から、ゴーヤを1本もらってきた。

そして、女子に向かって、

「ヴィ~イ~ン、バイブだよ」

「キャー、やめてください!」

1年女子の今村は叫んでいる。

男子は爆笑していた。ヒロキは手応えを感じた。

「ヴィ~イ~ン」

と叫び回り、ある人物がヒロキの名を呼んだ。

「おい、鵜飼、ちょっと職員室来いっ!」

顧問の小園だ!

ヒロキこと、鵜飼宏樹は職員室で1時間こってりと絞られた。

だが、このネタには手応えを感じていたので、明日は立派なおなすで実演しようと考えた。竹刀で1発殴られたが、今日は実のある1日であった。






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