第2話ミルクタンクが見たい

ようやく、キャプテンの正樹は道着に着替えて、後輩に指導する。

「いいか?水原、弓は握るもんじゃない。タメの時は親指と人差し指の間で押すように引くんだ!弓返りが出来る練習をしなさい」

「ありがとうございます、キャプテン」

正樹は高校生は3段まで取れるのだが、段位に興味がない。2段のままでいい。検定試験は断り続けている。


一通り後輩を指導すると、2年男子部員はヒロちゃん、光一君しかいなくて3人でお手本を見せた。

ヒロちゃんが、矢を放つ。


パンッ!


後輩が拍手した。

続けて光一君、そしてキャプテン。

3人とも皆中であった。

これなら、6月の地区大会には自信が持てる。後は2年男子の中から調子のいいヤツを選べばいい。


休憩の時間は弦の手入れ、カケの手入れの時間だ。ヒロちゃんが、キャプテンに耳打ちする。

「1年の郡山のミルクタンクが見えてるぜっ!」

「えっ、ホントに?」

正樹は郡山を探した。なるほど、ミルクタンクがチラ見出来る。

女子部員は弦から守るため、胸当てをする。この様な、休憩中は皆、胸当てを外すのが常である。


「キャプテン、光一君にも教えたけど興味ないって!」

「光一君は目の充血が好きなんだから、目の充血している女子が好きなのさ」

ヒロちゃんは、少し考えて、

「光一君は変態の部類なのか?」

「たぶん、僕たちと一緒だよ!」

「同類項にしないで、くれよ正樹くぅ~ん」

正樹は弦の中央に木工ボンドでハズがかかる場所を作りながら、

「3年の相原先輩覚えてる?」

「あたしゃ、忘れもしないよ~、Eカップの先輩でしょ?去年の地区予選のお昼休みだっけ?ミルクタンク丸まんま見えたの」

「チンチンがヤバかったよな?」

「正樹君、僕はそれを想像力膨らませて、オカズにしたよ」

「アハハハ」


「正樹君、明日、1年の女子の指導させてよ!」

「う、うん。いいよ」

「サンキュ、キャプテン」

「セクハラはダメだからね」

「わ、分かってるって!」

明日は、荒れる日になるだろう。

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