ベテラン交渉人の失敗 7
「どうして機動隊がここに?」
橘は思いもよらない事態に驚く。
動揺も収まらぬまま、状況は目まぐるしく変化する。
犯人は女性店員の腕を掴み、引き寄せた。
動転している犯人の動きが一つ一つ大きい。
犯人は女性店員を羽交い締めして首元にナイフを突き付けた。
勢い余ってナイフの先端が女性店員の首元に触れる。
その傷口から、ぷちゅっと出血する。
血は細い線を作り、首を通り、鎖骨の凹凸に沿って流れて、胸元に入る。
機動隊は店内で止まり、こう着状態になった。
「俺はお前を信じてた! トイレから帰ってきたら、俺はもう終わりにしようと思ってた!」
激昂した犯人は目は怯えていた。
ナイフの先端が震えている。
もうこうなっては交渉は出来ない。
「俺は捕まりたくない!」
犯人は女性店員を突き飛ばして、ナイフを自らの首に持っていく。
橘は小部屋に踏み込んだ。
犯人のナイフを持つ腕を掴もうとする。
しかし、犯人はナイフを振り回し、近づく事も出来ない。
橘が小部屋に入るのを見て、機動隊も小部屋の前まで近づいた。
女性店員は機動隊に保護される。
機動隊も踏み込もうとする。
しかし、小部屋の狭い空間に入る余地が無かった。
その時だった。
犯人は、「あー!」と叫び、ナイフの先端を橘に向けて振り下ろした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます