皆違えど皆好き~俺を好きな女の子は実はみんなエッチな女の子でした~

@tuzihime

第1話 過去とクセが強い転校生

小学生のころ、俺は友達がおらず誰に対しても喧嘩腰だった…そのせいでおれは周りから距離を置かれ、俺もそれを気にしなかった。担任は気にしていたがな…そんなある日


『やめて!やめてよぉぉぉ!』


『へっ!お前みたいなぶりっ子は大っ嫌いなんだよ!』


女の子がいじめられていた、話によると前の日に、今いじめている男が女の子に告白して見事にフラレそれに腹を立て野郎三人組でいじめていたと言うらしい…なんて卑怯な。一人の女を…そう思うと無性に腹が立ってきた!俺はズカズカと周囲にいた人を無理やりはねのけて3人の前に立った。


『やめろよ!』


別に目立ちたかったわけでも、ヒーローになりたかった訳でもない…ただ俺は目の前で傷つく人をそのまま見てるのは嫌だったのだ。


『なんだよお前っ!! 』


『野郎3人で寄ってたかって!恥ずかしいとは思わねぇのかよ!』


『んだとてめぇ!』


そして俺は思いっきり殴られた!いってぇ…俺はその時…まるで自分の意識が他の誰かに変わったかのような感覚があった…そして気がつくと殴り返していたのだ…その時は先生が俺たちを止めてことなきをえた。しかしその後、俺を殴ってきた男が大臣の息子と知り、教師共は俺が先に手を出して正当防衛で向こうが殴ったと真実を書き換えていたのだ。


『うちの子は!先に殴られたと言っています!他の生徒もそう言っていました!』


親と担任がそういうも聞いてもらえず、結局俺が悪いことになり、周りの目が変わった…あぁ…人間なんか…上が偉けりゃペコペコして真実さえも塗り変えるんだ…人間はこんなに汚い人間だったんだ…もう人は…信じない…。二度と…

それから俺は同じクラスのメンバーからも敵とみなされ、学校で俺の味方をしてくれたのは担任の先生だけだった…


ピピピピっ!ピピピピっ!

俺は目を覚ました…嫌な夢を見てしまった。忘れてたのに…あんなのはもう過去だ!ほかの人間なんて信用しなくていいんだ!忘れよう!俺には!天使がいる!


「セラピョン!今日も行ってくるぜ!」


俺は今人気のアイドル、セラピョンのフィギュアに挨拶をして家を出た。

季節は秋、夏のように暑いわけでもなく冬のように寒い訳でもない…人間にとっては『ちょうどいい季節』なのだろう。しかし、高2の秋は少し肌寒く布団に出たくなかったが、俺はいつものように目覚め、いつもの様にご飯を食べ、雲のない空と道をすれ違う車の音、電車の音を聞きながら俺はいつものようにあくびをしながら学園へ登校する。もみじが綺麗な通りを歩いていると


「おう、坊主今日も元気かー?」


八百屋のおっちゃんや、その近くにいたおばちゃんにも話しかけられたりして、俺の学び舎である、学園に着いた。黒く塗られたお城のような学園。

ここは斎場学園、この学園は家庭の事情や、個人の事情を持つ人が集まる学園だ。それだからかクラスの一人一人が一癖も二癖あるのだ。まぁ、そういう自分もその一人だから何も言えんがな…自分の教室は2階の2ーCだ。ドアを開けて何も言わず周りを見渡す。急に静かになり一瞬開いたドアの方をみやるがすぐにまた話を続ける。まぁ、うちのクラスはこんなもんだ。


いつもの教室の風景、俺は窓際の1番後ろの席だ。イヤホンをつけ、スマホの音楽をかけながら俺は周囲を見渡した。女子同士で話すグループ男子同士で話すグループ、男女一緒になって話すグループ色々あるが俺はそのどれでもない。いわゆるぼっちというやつだ。まぁ、前の学校のことを知ってるやつがちらほらいたらしく、俺は見事に学園デビューを失敗したのだ。まぁ、気にしてないがな。そしていつものようにチャイムがなり担任が教室に入ってくる。


「おーし、HR始めるぞ〜」


この人が担任の山城京華(やましろ きょうか)。なんと言ってもスタイルが良すぎる。ギリギリまで寝てたのか寝癖が少しあり、黒く光る長めの髪が動く度にぴょんぴょんはねてる…それはさておき…妖艶なムラサキ色の目、色気のある唇、体のラインがわかりやすい服を着てるせいで年齢を感じさせないハリのある胸とそこから伸びる腰、ちょっと肉のついたお腹が丸わかりだ。それに加え黒いミニスカにパンストって…どこのエロ同人誌だよ…生徒や先生からもよくヤラシイ目で見られてるが本人は気にしてないらしい。


「ーー以上だ。あ〜忘れてた、今日から転校してきたやつを紹介する。」


「……」


いつもの連絡を終えたあと、まるでオマケのように転校生が来ることを言った。

普通のアニメなら女子!?男子!?ってなるのだろうががうちのクラスは特に盛り上がらなかった。転校生か…どうせならセラピョンが来てくれないだろうか?


「せんせーそれ聞いてないし!」


「私も聞いてない、今日知ったばかりだ。」


そしてこの担任である山城先生の言葉にツッコミを入れるのはその後ろに立つ副担の美堂先生の役割である


「先生、昨日僕確認もしましたよね?明日、転校生がうちのクラスに編入するのでよろしくお願いしますと。」


美堂 勇俊(みどう はやとし)メガネ以外特徴はないが東大卒でかなりエリートだったらしい。身長は高く、女子からも人気が高い。これだから美形男子は!俺もそうなりたかったよ…


「あぁ、そうだったけ?まぁ、いいや。はいれ」


相変わらず適当な言い方である。山城先生は自分より目上の人や生徒に対してもこんな口なのでほかの先生も半分諦めている節がある。

そして教室のドアが開かれ、元気よく「失礼します!」と言う言葉と共に入ってきたのは金髪が目立つ女の子だ、ボタンをちゃんととめてるとこ見る限りヤンキーというわけでは無さそうだ。


「初めまして、丹比 琉偉(たじ るい)っていいます。多重人格です!よろしくお願いしま〜す!!」


彼女の言葉にヒソヒソと話していた一同が静まり返った。

多重人格障害……解離性同一症、解離性同一性障害とも呼ばれる。簡単に言えば複数の人格が同一人物の中にコントロールされた状態で交代して現れるものだ。今の時代意外と少なくなくてこの学校にも2、3人いる。まぁ、あって二重人格くらいだが…多重人格を持った子はなかなかいなかった。

そして再びヒソヒソと話し声が聞こえてくる


『今なんて?』『多重人格だって』

『え?マジ?本当にいんの?』『知らねぇよ』


いろんな声が聞こえる中、山城先生が咳払いし、たんたんと話を続けた


「ということで、まぁ、仲良くしてやってくれ。そうだな、席は…そこ空いてるしあそこに座ってくれ」


あそこ?げっ、隣かよっ!いいような悪いような複雑な心境だがまぁ、可愛い子だ。見たところいい子っぽそうだし。


「はーい。」


そう言うと周りの目は全く気にせずスタスタと歩き出す。そしていい笑顔で着席した。ちょうどHRも終わり、少しの間休み時間に入った。何度も例えるが、普通アニメとかだったら『どこの学校から来たの?』とか、『その金髪地毛?』とか周りに人だかりがなりそうなところだが…そうならないのはたぶん自己紹介の件だろう。そりゃそうだ、あんなカミングアウトされてからじゃなかなか話しにくいだろう。まぁ、俺もそのひとりなんだがな…


『どうする?』『俺話しかけに行こうかな?』

『バカ!人格急に変わったらどうすんだ!』


結局、ヒソヒソ話をされる始末。まったく、うちのクラスはなんでこうもチキンなやつばかりのか。まぁ、かくいう俺も話しかけられずにいるのだが…彼女はと言うと平然とした感じでノートとペンケースを取り出してこっちを見て…え?


「ねぇ!」


「へ?」


「悪いんだけど今日一日教科書見せてくれない?私転校したばかりでまだ教科書とか届いてないんだよね。」


にっと笑って俺の席に机をひっつけてきた。なるほどそういうことか。てか反対側の女子じゃなくて俺なのね。まぁ、どっちでもいいけど。


「ほらよ。」


「ありがと〜。あぁ、別に気を使わなくていいから。無視してくれていいし、あ!でもどうしてもって時は話しちゃうかも!」


まぁ、よく初対面の男にここまでペラペラと話せるものだ…ある意味見習いたい。というか久しぶりだなぁ…俺にこうやって普段通りに接してくれる人を見たのは。


「よろしくね、鷹木 耀司(たかぎ ようし)くん!」


「おう…って俺名前言ったっけ?」


「ノート。」


「あっ!」


確かにノートを出していれば必然と名前はわかる訳だが、なぜ俺の名前が読めたのか。まぁ、単に漢字が得意で直感力がすごいやつと言われればまぁ、少しは納得がいくだろう。ただ、こいつはまるで俺の名前を知っているかのように俺の名をフルネームで呼んだ。


「もしかして…どこかで会ったか?」


「……初めましてだよ?」


今の間が気になったがまぁいいか。どちらにせよこれからいやでも知っていくことになるのだから。


「やっぱり覚えてない…か。」


ボソッと何か言ったような気もしたがその時の俺は別に気にはしなかった。この物語は人を信じれなかった俺と多重人格の女の子のちょっぴりエッチな話である。

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