第5章...旅と1人増えた生活

才斗「て、いうことでこれからよろしくお願いします」


康介「そうだな、まずは才斗君の中学校転入の手続きをしないとな...」


真帆「そうですね」


康介「やっぱり俺が大学に入ったら、家が空く時間が多くなるからな」


才斗「僕は近所であればどこの中学校でも良いですよ」


康介「まぁ特定されないようにしてくれる中学校に入れるつもりだ」


真帆「そんな中学校があるんですか?」


康介「まぁ、情報とかを漏らさないで、厳重セキュリティな所に入れればいいだろ」


真帆「大分アバウトですね...」


俺はここに住み始めてからまだ数日しか経っていないのだ。

俺は地理とか詳しい訳では無いし、この辺にある中学校や高校の事情などは、全くもって知らない。


康介「とりま、近所の中学校に入れるか...」


真帆「セキュリティはどうしたんですか...」


康介「真帆は俺の大学の所で待ってくれるみたいだし、家を空ける時間があるな」


真帆「空き巣とかは大丈夫なんですか?」


康介「前に真帆が、同じ所にずっと居ると危ない、って言ってたから家を開ける時間を増やしたんだ」


真帆「そういう事なんですね。大分私達の影響で生活が変わりつつありますね、なんかすいません」


康介「いやいや、俺もこういう風な事に少し憧れがあったしな」


真帆「なんで憧れがあるんです...?」


康介「やっぱりすごいじゃん!えーとなんや...うん!そう!」


才斗「語彙力が消えてますよ」


ということで3人で中学転入の手続きをしに行った。昨日の夜に才斗君はすぐに寝てしまったので、あんまり才斗君は外の景色を知らなかった。そのため驚きの表情を見せながら中学校に向かった。


才斗「ここですか?近いですね」


康介「本当に近いな、歩いて一分も掛からないくらいで着いたぞ」


真帆「ちなみに康介さんの大学ってどのくらいで着くんですか?」


康介「電車を使って片道30分だ」


真帆「結構かかりますね...」


中学校の中に入っていった。

都心の学校で思ったことは、校庭がめちゃくちゃ小さいと思った。俺の母校の中学校の5分の1くらいしか校庭がない、やっぱり都心はスペースが取りづらいのかな?

あとクラスも少ない、俺の学年なんて7クラスあったのに対してこっちは2つのみだ。やっぱし学校の密度が高いから、ひとつの学校の生徒数が少なくなるんかな?


そして1時間程に及ぶ手続きを終え、次の学年から正式に入学となった。

帰ってくるのも一瞬だ、1分も掛からない。


康介・真帆・才斗「ただいまー」


康介「なんか書類とかめちゃくちゃ貰ったけど、何書いてんのか全然分からん」


真帆「まぁ3人の力があればすぐに終わるでしょう、進めていきましょう」


康介「そうだな。えーっとまずは、家から学校までのルート...か」


真帆「これは簡単ですね」


才斗「近いからめちゃくちゃ分かりやすいですね...」


康介「次に、家族等の電話番号を書いていくのだが...一体誰のを書けば良いと?」


真帆「私達の親の電話番号なんて全くもって知りません」


康介「俺の電話番号書いておくか...」


真帆「大丈夫なんですか?」


康介「まぁ、一応な」


康介「次は、実家の住所だ」


真帆「...才斗は覚えてる?」


才斗「覚えてる訳無いよ、姉ちゃん」


康介「まぁ、これも俺のとこの住所を書いておくか...デタラメに書けないしな...」


真帆「学校転入の手続きって、こんなにも大変だったんですね...」


康介「そうなんだな...学生のうちにこの辛さを体験するとは思ってもいなかったよ」


才斗「転校って初めてするんだよな...友達をすぐに作れるかが不安です...」


真帆「元の学校でも、あんま友達いなかったんじゃないの?」


才斗「それは言うなや」


この後もしばらく手続きを続けて、気づいたらもう既に夜になっていた。

しかも、どちらかというと深夜に近いような時間帯だ。


才斗「こんなにも時間が掛かるとは思ってもいませんでした...」


真帆「まぁ、それだけ手続きが大変ってことじゃないですか?」


康介「さーて、こんな時間になったらもうレストランとかは、ほとんど空いていないだろうな...」


真帆「冷蔵庫とかの残り物を炒めて食べることにしますか?」


才斗「僕はどちらでもいいですけど」


康介「じゃ、残り物でなんか作るか...」


疲れながら冷蔵庫を開けて思い出した。


食材をなんも買ってねぇわ!


残り物も食材もなんもないやん!

こりゃ参った、参った...


才斗「あ、食材ない感じか...」


康介「そういう感じや...」


この時間だったら空いている店もまだ残っていると思い、最近買った壁掛け時計を見た。


12時半...だ。


もうこの時間になると、コンビニ以外の選択肢が無くなった。しかしこの頃コンビニばっかりの食事になってしまっているので、なるべく今日くらいはコンビニは辞めようと思い、もう1回真帆達に聞いてみた。


康介「真帆ー、才斗ー、コンビニとそれ以外、どっちにする?...って2人ともどこいってん?!」


ピローン


ここで誰かからの連絡が来た。2人がどこに行ったのかが気になるが、とりあえず通知を見てみた、すると...


真帆・才斗「コンビニに居るけど、康介さんは何を食べたいですか?」


あの二人はどんだけ行動が早いんだよ?!

と思いつつ、「ラーメン」と打った。


打ってから返信があり、またその10分後に才斗と真帆が帰ってきた。


真帆「はい、買ってきましたよ、よく康介さんが食べているラーメンを」


よく俺の食べたいものをピッタリ買ってこれたな?!まぁ、今までも結構食べている時があったし、そりゃ分かるっちゃ分かるか。


コンビニに行った理由を聞こうとしたが、せっかく買ってきてくれたのに失礼だと思い、理由を聞かないことにした。


康介「とりあえず、食べたらもう遅くだし寝るか...しかも今日は結構移動したり、書類書いたりで疲れたし」


真帆「食べてから直ぐに寝ると、牛になりますよ?」


才斗「そう言ってる姉ちゃんも寝てるじゃん」


真帆「私が牛だとでも言いたいんですか?」


才斗「あぁ!言いたいとも!」


真帆「失礼ですね...だから嫌われるんですよ」


才斗「いや、これは姉ちゃんにだけだから...」


真帆「じゃあなんで才斗は嫌われてるんでしょうか?」


才斗「とりあえず嫌な予感がするから深堀をしないでくれ...」


1時に寝てから、急なタイミングに起きてしまった、時計を眺めると4時を指していた。

疲れすぎでこんな時間に起きてしまったのか、布団を敷かずに寝たからかは分からないが、俺は一回寝るとずっと寝てしまう体質なので、仕方ないが二度寝をしないことにした。机の上には3時間前まで書いていた書類が置きっぱなしになっていた、しかしまだほかに書類を置くところがないので、端に寄せる程度にすることにした。


まだ日も出ていないので、夜の格好をしてコンビニに向かった。しばらく歩いてコンビニにやっと着いた。こんな時間にも働いているアルバイトの人は物凄いと思う。俺の体質は夜勤に向いていないのもあるかもしれないが。


とりあえずスムージーと3人分の食事を買って、レジに向かった。

そこであるものが自分の目に付いた。


康介「あ、羊羹だ」


思わず声に出た。このコンビニの羊羹は何故か人気があるので、横に羊羹があることは珍しかった。とりあえず持っていたカゴに3つ入れ、会計を済ませた。


外に出たら日がもう昇っていた。


ガチャッ


帰ってきた時はまだ2人とも寝ている状態だった。時間が余ったので、初めて朝のシャワーと言うやつをやってみることにした。


今考えるとめちゃくちゃ狭い風呂だな、と思う。こうやって1人で風呂に入るのも良き良k...


ガチャッ


真帆「風呂入ろっかなー...ってなんで康介さんが居るんですか?!」


康介「ちょっ、なんで真帆が入ってきてんの?!」


真帆「なんで康介さんは脱いでるんですか?!」


康介「そりゃ、風呂入ってる最中だからだよ!!」


真帆「康介さんが朝に風呂はいっているイメージが無いので驚きました」


康介「てかさ」


真帆「なんでしょうか?」


康介「なんでずっと風呂に入ってきてんだよ?!」


真帆「...悪いでしょうか?」


康介「いや、結構悪いよ?!」


真帆「康介さんのは大きi...」


康介「アウトアウトアウト!!!」


真帆「はぁ仕方ないですね、一緒に風呂に入りましょうか?」


康介「な、何言っとん!頭が吹っ飛んだ?!」


真帆「じゃあ、脱ぎますね」


康介「ちょちょちょい!脱ぐな脱ぐな!」


真帆「なんででしょうか?」


康介「いや、普通にダメだしアウトだよ!」


真帆「私の事をHな目で見なければいいじゃないですか?」


康介「もっ、元々見てねえよ!」


真帆「そうですか...」


なんで落ち込んでるんだよ!?これは見てるって言った方が良かったのか?!

いや、そうすると完全なる変態だろ?!

流石に、完璧なる変態にはなりたくないので、この件は無視することにした。


真帆「て、ことで入りますよ」


やっぱり全然無視できない出来事だった、そして返答に困った。ここまで押しても入りたいって事はなにか特別な理由があるのだろうと思い、通すことにした。


康介「とりあえず、タオルを巻いたらここに入ってきていいよ」


ガチャッ


康介「あれ?脱がんの?」


真帆「私は風呂を洗いたいだけなので、靴下以外は別に脱がないですよ?」


康介「へ?」


真帆「もしかして、私の裸体を見たかったんですか?!」


康介「...」


真帆「...なんで、なんにも喋らないんですか?!いつもなら直ぐにツッコミが来るのにどうしてですか?」


俺は黙って風呂を上がった、そして混乱している頭に1つの答えが生まれた。


一緒に入るのか聞いたのに、なんで風呂洗いをしたんだろうか?


一方で真帆の方は...


真帆「(あ、これ嫌われたかもしれない...)」


着替えてリビングに戻った。


しばらく経って、朝ごはんに買ってきたものを温めた。


3人「いただきまーす」


才斗くんは食べ盛りだから多めに買ってきたつもりだが、それでも物凄い勢いで目の前のご飯はどんどん無くなっていった。


昔は才斗くんと同じくらい俺も食えたんだけど、急に胃袋が小さくなったな...


康介「やっと完全に日が昇ったな、昼間みたいな明るさだな」


真帆「さて、今日はどこに行きましょうか?」


康介「どうせだし遠出してみようか、俺の春休みが終わると、ほとんど休みが無くなるから」


才斗「いいな、それ」


真帆「じゃ、行ってみましょう」


康介「じゃあ、もう旅の用意をしよう」


真帆「旅って言っても、どこに行くんですか?」


康介「じゃあ、東京を観光しようか」


才斗「そういえば、まだ三人とも東京に来てから日が浅いので、それはいいアイデアだと思います」


ということで、東京を観光することにした。

東京は面積が狭いので、比較的日帰りに向いていると思う。


康介「まぁ、そんなに荷物は持たなくていいか、日帰りだし」


真帆「そうですね、あんまり荷物を持ちすぎると、今度は移動が大変になりますしね」


才斗「僕の方の準備はとっくに完了しているので、あとは2人が用意するだけだよ」


真帆「必要最低限の物だけでいいですか?」


康介「お土産とか買った時に、入るくらいの大きさのバックにはしといた方がいいよ」


真帆「そんなにお土産買うんですか?」


康介「...まぁ念の為だ」


真帆「要するにそんなにお土産は買わないんですね...」


康介「まぁでも備えあれば憂いなしだ、後悔する前に行動した方がいいよ」


真帆「そうですか、それなら分かりました」


才斗「...姉ちゃん達はまだー?」


康介「あ、ちょっと待っててね」


真帆「大人しく待っていてください」


才斗「俺はもうそこまで子供じゃねぇって」


真帆「私の5歳下なのに何を言っているんですか?私もまだ子供だと思ってますよ?」


才斗「姉ちゃんが子供なのは胸だk...グホッ」


真帆「今なんて言いましたか?(怒)」


才斗「何も言ってないので、離してくだせぇ」


康介「問題は解決した?」


真帆「まぁ、とりあえずは解決しましたよ」


才斗「僕は怪我しましたけどね」


康介「お、おぅ、大丈夫か?」


才斗「大丈夫なので、早く出発しましょう」


康介「まぁ、無理はすんなよ...」


ガチャッ


康介「桜が咲いているような時期になったな...ちょっと前まで木がはげていたのにな」


真帆「急な気温変化で体調を崩さないように、気をつけないとですね」


才斗「俺はしょっちゅう体調を崩すから今年も気をつけないとな...」


真帆「夜に、腹出しながら薄着で寝てるからですよ」


才斗「腹は出してないって」


康介「これから地下に入るけど、暖房は効いているのかな?」


そして階段をおりた


3人「うわっ!寒っ!」


康介「まぁ、そりゃ地下で暖房効いている訳ないか...」


真帆「とりあえず、すぐにホームに入りましょう」


才斗「まずはどこに行く?」


康介「まずは、都庁所在地の新宿に行くか」


真帆「そうしましょう」


康介「おっ、丁度電車来てるやん」


真帆「乗っちゃいますか」


そして揺られること数分...


真帆「久しぶりの新宿ですね」


康介「前に、家電買った時はめっちゃ大変な思いして帰ったからな...」


真帆「あんなの、二度と御免ですよ」


康介「運転免許証を取ったら直ぐに自車を買いたいな...」


才斗「僕は初めて来たけど、ザ・東京感がありますね」


康介「じゃあ、次はどこに行く?」


真帆「この電車に乗って行きましょうか」


康介「そうだな」


そして揺られること30分...


康介「ここは立川って所らしい」


真帆「こっちも結構栄えているんですね、でも比較的低い建物が多いですね」


才斗「夜の繁華街的な感じだな」


康介「じゃあ次に行くか」


そしてまた電車に揺られること10分...


康介「ここが八王子だ」


才斗「八王子ラーメンが有名だな」


真帆「東京で雪が降った時はだいたいここで生放送をしたりするよね」


康介「丁度昼飯の時間帯だ、せっかくだし八王子ラーメンを食べていかないか?」


真帆「いいですね」


才斗「俺食ってみたかったんだよ!」


真帆「才斗は食べ物のことになるとすぐに食いつくんですね...」


才斗「仕方ねぇよ、今、腹も減ってるし」


康介「お、ここの店いいな、入ってみようか」


ガラガラガラガラ


大将「らっしゃい!」


真帆「あれ?メニューはどこですか?」


大将「家は食券式だから、そこで食券を買って、俺に渡してくれぃ」


真帆「そんなのあるんですか?!」


才斗「ラーメン屋では当たり前だよ...」


そこで食券を買うことにした。

トッピングや色々な種類のラーメンがあったが、やっぱり店の看板メニューをトッピング無しで食べる事にした。


そして待つこと5分...


大将「へぃ、お待ちぃ」


3人「おおーー!」


才斗「八王子ラーメンは真ん中に刻み玉ねぎが乗っているのが特徴です」


3人「いっただっきまーす!」


真ん中にある玉ねぎを溶かして頂く。


康介「うっま!なにこれ?!」


才斗「玉ねぎの甘みが出てるんですね」


真帆「美味しいですね」


美味しくて箸が止まらない。


そして...


3人「ごちそうさまー!」


大将「あいよ!また来てな!」


ガラガラガラガラ


康介「ふーぅ、腹いっぱいだ」


真帆「外がとても涼しいですね」


才斗「ラーメン屋の中ってだいたい暑いんだよな...じゃ、次どこ行きます?」


康介「ゲーセンでもよっていくか?」


才斗「いいですね」


真帆「早速近くのゲーセンに寄っていきましょうか」


ウィーン


康介「なるほど、ここは1階がUFOキャッチャーなんだな」


才斗「入口に入った瞬間に、両サイドにUFOキャッチャーがあるし...」


真帆「でも、店内はそんなに広くないので、多分台数自体は少ないですね」


康介「おっしゃー、ちょっとやってみよ」


お金を入れて始めた。


康介「はい、もうやめよう」


才斗・真帆「(早くない?)」


取れなかったので、すぐにやめた。


そして次の場所に向かった。


康介「ここが東京スカイツリーか!」


真帆「634mって聞きましたが、実際に下から見てみるとそんなに高くないですね」


康介「じゃあ、登ってみるか?」


そして登った。


真帆「うわっ!高すぎじゃないですか?ちょっと怖いです!」


康介「ほら、やっぱ高いっしょ?下がガラス張りになってるとこ行こうぜー...」


真帆は涙目になりながら、全力で首を横に振っていた。


康介「あ、ごめん」


才斗「そろそろ帰んないと、時間がやばくないですか?」


康介「本当だね、じゃあそろそろ帰りますか」


ピロロロロ


康介「あ、電話来たから、ここで待ってて」


才斗「分かりました」


ピッ


康介「もしもし、光野ですけど?」


???「はい、こちら明天大学です」


明天大学といえば俺がこれから入る予定の大学だ。そして入学式は5日後だ。


康介「どのようなご要件ですか?」


明天「明日が入学式ですけど、もうご準備はお済みになられましたか?」


...え?


康介「入学式って5日後じゃないんですか?」


明天「あ、それは明天大学附属高校の入学式の日程ですね」


康介「あ、そうなんですか、分かりました。では明日からよろしくお願いします」


ピッ


電話を切った後に、深いため息を1回ついた。


真帆「あ、康介さーん、そろそろ帰りますよー!」


康介「...早めに帰ろうか」

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