ＫＡＭＩＴＵＫＵ

第５２話 「神と人類の圧倒的な差」

いよいよ人類と神々の戦いが始まる。

第一戦目

『火炎猛虎（かえんもうこ）エンコ』Vs『山剛（さんごう）バクマル』

広々とした中庭の中心にマナは戦う場所を

急遽用意する。

「このまあるい闘技場から落ちたら負け！

今回はそういうルールにしよう！」

「なんだ？殺し合いじゃないのか？

随分生温い戦いじゃねーか！」

「僕は殺し合っても構わないけどね

マナがそう言うならそのルールに従うよ」

マナの突然のルール変更に万が一負けても

殺される事はないと少し安堵するミカド達。

「それじゃあ第一戦目始め！」

マナの掛け声で両者構える。

「悪いが速攻決めさせてもらうぜ！！」

『爆打ノ陣（ばくだのじん）・大爆撃豪拳衝（だいばくげきごうけんしょう）』！！

エンコと距離を詰め拳を突き出すが

拳は空を打ち不発する。

「遅いなー……そらっ！！」

「グワァ！！」

なんとバクマルはエンコの蹴り一撃で

場外に落ちてしまう。

「グァァァア！！油断したぁぁぁあ！！

もう一戦もう一戦頼む！！」

「どうするマナ？」

「特別にいいよ！今回だけね！」

バクマルは闘技場に上がり再びエンコと向き合う。

「次は油断しねーぜ」

「いつでも来ていいよ」

『爆拳（ばっけん）』！！

バクマルはエンコに拳を突き出すが

エンコはジャンプして躱し、宙で身体を回転させ

勢いよくバクマルの脳天を蹴り飛ばす。

「…………」

「こんなものか～今回は随分と甘やかされて

生き残って来たのかな？」

バクマルはエンコのスピードに着いて行けず

一撃でやられてしまい闘技場にめり込んで

気絶している。

「邪魔だバクマル」

「グガァ！！」

ジンに頭を踏み潰されて意識を取り戻し

トボトボと仲間達の元に戻る。

第二戦目

『流水天鬼（りゅうすいてんき）スイカ』Vs『轟鬼（とどろき）ジン』

「第二戦目始めー！」

「なんでこんなガキと……」

「スイカを甘く見ると痛い目見るよ～」

スイカは刀を抜かず迫って来る。

ジンはスイカを取り押さえ様とするが

何故か地面に背中を着いていたのはジンの方だった。

「なんだテメェ……見た目によらず

馬鹿力が過ぎるんじゃねーか！？」

「スイカは普通だよ～、お兄さんが非力なだけ！」

かなりの筋肉量で力には自信があったジンは

筋肉の欠けらも無い子供らしい身体付きの

小さな鬼の女の子に非力と馬鹿にされる。

ジンは押し返そうと力を込めるが

その度に闘技場に沈んでいってしまう。

「どう？力の差思い知ったー？」

「クッソ……」(両手を押さえられて刀が抜けねぇ)

スイカは突然ジンとの力比べを辞めジャンプして

ジンの腹部に蹴りを両足で入れ戦闘不能にした。

「はーいどんどん行こー！第三戦目の二人前へ！」

第三戦目

『電雷鳴鳴（でんらいめいめい）ミミミ』Vs『愛美希（あみき）ミナト』

「第三戦目始め！！」

「よろしくね～」

「よろしく！！からの！！」

『雷ノ御体（かみなりのごたい）・瞬脚（しゅんきゃく）』！！

ミナトは早々に仕掛け、雷エネルギーを足に

集中させてスピードを上げる。

「どう！着いてこれる！？」

「はーいキャッチしてドーン！」

「えっ……」

瞬脚も虚しくミミミの間合いに入った瞬間に

腕を掴まれて場外に飛ばされてしまった。

「そんなぁ～」

第四戦目

『岩山剛打（がんざんごうだ）マグノミ』Vs『夜勝刃（やがつば）ユウシン』

「第四戦目始めッ！」

マグノミはユウシンにメンチを切る。

「うわぁぁぁあ！！！！こわいよぉぉぉお！！！！」

「テメェ何やってんだ……」

ユウシンはマグノミが怖すぎて

無意識に場外に出てしまった。

「みんなごめんなさいぃぃぃい！！！！」

「カムユを倒したガキって聞いて選んだが

期待外れもいいとこだ……」

第五戦目

『癒安道楽（ゆあんどうらく）ツヅミ』Vs『血刀泉鬼（けっとうせんき）ウタカタノヒメ』

「第五戦目始めー！」

「ウギヤァァァア！！！！殺す！！殺す！！

殺すぅぅぅぅ！！！！」

「おぉー！いきなり狂鬼化！いいねー！」

ウタカタは少しでも力の差を無くそうと

いきなり狂鬼化してツヅミに襲い掛かる。

「まぁーまぁー落ち着きなよ……そんな可愛い顔で

狂鬼化なんかしたら勿体ないじゃないか」

『癒楽ノ陣（ゆらくのじん）・消泉湯脱（しょうせんゆだつ）』

「ガ……ウゥ……力が……」

「う～ん♡いいよ～、お肌がツヤツヤになりそ！」

ツヅミは狂鬼化するウタカタを容易に取り押さえ

力を吸収して自身のエネルギーにしてしまった。

第六戦目

『摩天旋嵐（まてんせんらん）シクム』Vs『白地（はくじ）イチロ』

「第六戦目はっじめー！」

何故かあからさまにやる気のないイチロ。

「僕も可愛い子と戦いたかったお……」

「殺す」

「どーぞどーぞ好きにするんだお

殺されなければなんだっていいんだお……」

「マナは殺すなとは言っていない、

闘技場から落ちたら負けとしかな」

「ヒッ！！ややややや、やるお！！

やる気十分！！まままま、負けないおぉぉぉお！！」

シクムは持っている葉団扇を一振して

イチロは遠くに飛んで行ってしまった。

第七戦目

『一凍練鬼（いっとうれんき）サク』Vs『呪幻狐舞（じゅげんこまい）ハオリ』

「第七戦目始め！」

「参ります！呪幻ノ――えっ？」

「話になりませんね」

サクは一瞬で抜刀して気付けばハオリの後ろで

刀を振って血を払い納刀していた。

ハオリは脇腹から腰にかけて一刀両断され

ゴトッと頭側の方が地面に落ちる。

直ぐにマナの力で回復しハオリは無事だった。

第八戦目

『予眼閃凡（よがんせんぼん）クセツナ』Vs『竹ノ獄（たけのごく）クニトモ』

「第八戦目始め！」

『闇ノ御体（やみのごたい）・闇舞紫（くらまし）』

クニトモは姿を消し、クセツナの背後を取る。

しかし、クニトモの前に姿は無く肩にポンッと

クセツナの手が乗せられる。

「やっぱり君は強いね～僕の負けだよ～

じゃ、お先に失礼するね～」

何故かクセツナは自ら場外に降りて

先に帰ってしまった。

クニトモは力の差を感じ圧倒的にクセツナの方が

格上だと思ったが故に頭から疑問が離れなかった。

第九戦目

『冥界怪僧（めいかいかいそ）ゴリョウ』Vs『炎狂飢鬼（えんきょううえき）ユキマサ』

「第九戦目だけどゴリョウがいなくなったから

不戦勝でユキマサの勝ち！」

拍子抜けするユキマサ。

クセツナと言いゴリョウと言い神々に完全に

舐められしまっている人類。

第十試合目

『獄門無嶽（ごくもんむがく）ランゴウ』Vs『山蘇木（やそぎ）ミカド』

「仕切り直して！第十試合目始め！」

「ウゴォォォオ！！！！」

「すげぇ圧だ……でも負けねーぞ！！」

『雷ノ陣（かみなりのじん）・雷斬一閃（らいきりいっせん）』！！

ミカドは雷を纏った手刀で仕掛けるが、

ランゴウの剛腕がミカド腕を粉砕して吹き飛ばし

場外に落ちてしまう。

「いってぇぇぇえ！！！！強過ぎんだろッ！！！！」

第十一戦目

『呪怨狐火（じゅおんこび）ミマナ』Vs『陽山河神瞳院（ひやまがわしんどういん）カズイチ』

「それじゃあ最後！第十一戦目始め！！」

カズイチはおもむろに胸ポケットから

好物のぶどう味のロリポップを取り出して

包み紙を外して口に含む。

「君も舐めるかい？」

「えっ？いや、あの、た、戦わないと！」

「そんな事言わずにほら舐めてみてよ～」

もう一つぶどう味のロリポップを取り出し

包み紙を外してミマナの口に含ませる。

「どう？美味しいだろ」

「あ、はい……美味しいです！」

「君とこのロリポップよく似てるからね～

なんか舐めたくなっちゃって」

紫色の髪に紫色の着物、とにかく紫色に包まれた

ミマナを前に好物のぶどう味のロリポップを

舐めずにはいられなくなってしまったカズイチ。

「あ、あの、飴を舐めながら戦うのは

あ、危ないです……」

「まぁまぁ、舐め終わってからのんびり

戦いましょうよ～」

「で、でも……皆さん待ってますし……」

「ほら、隣座って座って～」

「は……はい……」

あぐらをかいて片腕を後ろに着き、片手で

ロリポップを転がしのんびりしているカズイチの隣に

正座して隣に座るミマナ。

「俺達は何を見せられてるんだ……」

「彼なりの作戦なんじゃないか？」

「なんか楽しそうに話してるよー？

スイカもあの飴欲しいな欲しいなー！！」

神々は困惑しているが、ミカド達は苦笑いで

二人を見守る。

二人はロリポップを舐め終わり立ち上がる。

「じぁ、楽しい時間をありがとう」

「は、はい！戦いましょう！！」

(優しい方ですね……気を許してしまいそうでした、

しっかり気を引き締めて行きますよ！！)

カズイチはミマナにお礼を行って自ら

場外に降りてしまった。

「カズイチ、お前何してんだ……？」

「ごめんねジン君、僕はあんな可愛い子とは

戦えないよ～アハハハハ～」

なんか拍子抜けする場面がいくつもあったが

結果的に人類側の負けである。

「負けちまったが俺達どうなるんだ……」

敗北してしまったミカド達はただ帰られるとは

もちろん思っていない最悪消される事が想像でき

どうなるのかを神々に意を決して聞くミカド。