第13話 「剣腕の人型異形」
鬼化した
政府が隠し持っていて詳しい事は分からないが
感情の暴走により人間が鬼化してしまい
人とは違う力に目覚める。
一家の炊事担当、
ご馳走を振舞ってしまい隠れ家の備蓄を使い果たし
やむを得ず翌日に食料調達をする事に。
異形が静止する朝を狙って食料調達するが
またしても予測が外れ異形が動き出してしまう。
隠れ家に退避するも、マサが扉を閉め忘れ
異形の巣窟と化してしまった。
向かおうとするが、生存者の陽山カズイチに遭遇。
彼の案内で他にも生存者が立て篭っている
◆
カズイチの案内で火花衣病院に向かう道中
もう少しで着くという時に、高さ三メートル程の
岩が道を塞いでいた。
「困りましたねぇ~来る時は無かったのですが~」
「俺達に任せてくれ」
マサとタカオミとバジオは岩に向かって
スナイパーライフルを撃ち抜く。
「こりゃおもしれ~や」グビッ
「面白くないわよ!飲んだくれ!」
「おっ!イチカちゃんいいよー!もっとバジオに
厳しく言ってやって!」
「あっ、ごめんなさい!つい!」
岩はスナイパーライフルの弾丸を
近距離で受けてもビクともしていない。
ノソ……ノソ……
道を塞いでいた岩が動き出した。
案の定異形という訳だ。
その異形は大顎の異形にそっくりな顔だが
毛が無く岩のような外角に覆われていた。
「私が行く!!マサ達はいつも通りサ援お願い!!」
「銃弾が通らないんだぞ?お前のブレードも通らないだろ」
「鼻から倒そうなんて思ってない!
コアを探してくるだけよ!」
「なら俺も行く……」
「ありがとうあなたとなら直ぐに見つけられそう!」
「うるせぇ――行くぞ」
結埜とユアサは岩肌の異形に向かって走り出し
背中に駆け上がってコアを探す。
マサはユウタと、タカオミはイチロと、
バジオはレイとペアになって散り散りになり
結埜とユアサのサポートをする。
ユウタ達はマサ達が他の異形に襲われない様に
サポートをする。
岩肌の異形は見かけによらず激しく動き出す。
「脚だ!右前脚を狙え!!」
ユアサの指示で三人が同時に岩肌の異形の
右前脚に銃弾を撃ち込む。
しかし、ビクともしなかった。
その後も異形が動く度に怯ませようと
銃弾を撃ち込むがどこを撃ってもビクともしない。
結埜とユアサも異形のコアを見つけられず
一旦全員は元の場所に集合する。
「こりゃ~参ったな」グビッ
「この異形を何とかするしか向こうには行けないわね……」
岩肌の異形が暴れて周囲の建物が崩れて
より突破を困難にしていた。
「そんで?コアはあったのか?」
「見つかってたら直ぐに破壊してるよ!!」
「そんなイラつくなよ結埜~」
タカオミは結埜をなだめる。
「後は腹側だけだ……」
「あれをひっくり返すのは無理だろ~」
「ちょっと待つんだお!!僕行ける気がするお!!」
イチロは刀を抜いて異形の元に近づき口を尖らせ
一睨み効かす。
「食らうお!僕の必殺!『
イチロは刀を異形の頭に叩き付けると
異形は頭を揺らしゆったりと気を失った。
「さっ!みんなでひっくり返すんだお!!」
「なんだよ、必殺とか言って気絶させるだけかよ……
って、こんなのひっくり返せるかーい!!」
「ユウタ、ナイスツッコミなんだお!!」
イチロは満面の笑みでキランと歯を輝かせて
グッとポーズしている。
「イチロでかしたぞ!気を失わせるだけで十分さ!
今の内に異形を渡って向こう側に行くとしようじゃないか」
マサの言う通りに急いで岩肌の異形を渡る。
「それにしても凄いねさっきの!スナイパーライフル
でもビクともしなかったのに、刀を打ち付けただけで
気絶させちゃうんだもん!」
「なんか閃いちゃったんだお!」
「きっと鬼にはそういう技があるのかもね!」
岩肌の異形をやり過ごして、いざ火花衣病院に
向かおうとした時、また別の異形が一体現れた。
その異形は人の様な形で植物の様な質感もあり全身が
細く、両手がサーベルの様になっている。
人型の異形は死んだ様にじっとして全く動かない。
ヒュンッ!――ザシュッ――……
ユアサの投げたナイフが人型異形の
頭部に突き刺さる。
「死んでるな……」
ナイフが刺さっても全く微動だにせず
ただそこに立って死後硬直している様だった。
念の為いつ動きだしてもいい様に
慎重になって人型異形を通りかかろうとした時、
結埜は突然ブレードを構える――
「クソが……」ドサッ……
「ユアサ!!」
沈黙だった人型異形が急に動きだし
結埜に斬りかかったが咄嗟に盾になったユアサは
胴体を深く切り裂かれ倒れる。
倒れるユアサに近寄る間もなく
人型異形は間髪入れずに結埜に斬りかかる。
「全員下がれ!!俺と結埜で対処する!!」
マサの指示で全員急ぎ退避する。
「今までの異形とは比べ物にならねーな……」
「二人で大丈夫かな……?」
「あの二人で無理なら俺達も終わりだな……」
「ユウタの力で何とかならないのかな……?」
「イチロみたいに閃いて技が使えたら
いいんだけどな……何もピンと来ない……」
イチカはユウタのお飾り具合にゲンナリする。
「結埜!!突っ込みすぎるな!!冷静を保て!!」
「分かってる!!」
ギィギュゥリィ
気味悪い声を発しながら人型異形は
手を止めることなく刃を振るい続ける。
必死にブレードで攻撃を受け続ける結埜は
体制を立て直せずにどんどん体力が削られていく。
一瞬の隙を狙い続けるマサは結埜の焦りを感じ取り
引き金を早まりそうになった時に気づく。
「結埜!!お前のいつもの戦いをしろ!!」
マサの声で結埜は焦りの表情からニヤっと微笑むと
両手に握っているブレードを異形の攻撃が
当たる瞬間に離す。
異形の攻撃が当たったブレードがすっ飛んで行くと
同時に、結埜は人型異形の細腕を両手に握って股下に
滑り込む、人型異形自身の刃で脚が切断され身体が
回転して地面に勢いよく叩きつけられる。
結埜が掴んでいる異形の細腕をマサが
スナイパーライフルで的確に撃ち抜き両腕を切断。
立ち上がれなくなった異形は地面でジタバタする。
頭部を覆うツルの間からチラつくコアを結埜は
手に持っている人型異形の腕の刃を思いっ切り
突き刺し、人型異形は生命活動を停止した。
結埜を賞賛する暇もなく全員ユアサの元に走る。
「ユアサ!!ユアサ!!ダメだ!!息してない!!」
「クソ……」
「マサ……ユアサの最後見たか……
立派な一家の一員だよユアサは……」
「タカオミの言う通りだ……咄嗟に結埜を庇った……
お前がそんな事をする奴だったとはな……もっと早く
俺達に心を許してくれやー良かったのによぉ……」
ユアサのいつもキレイだった白いレザージャケットは
溢れる出血で真っ赤に染まってしまった……。
「何してるんですかぁ~早く病院行きましょうよ~
本当にその人、死んでしまいますよ~」
「何言ってんだてめぇ……ユアサはもう――」
今にもカズイチになぐりかかりそうなタカオミ。
「彼女なら救えるはずです……
もうすぐ着く火花衣病院の火花衣サヤさんなら」
「確かに!私もお世話になった事がある!!
サヤさんなら……急ぎましょ!!」
火花衣サヤ、誰もが知っている名医。
年齢二十三歳にして医療の域を超え
死後十分以内であれば百パーセント蘇生させる
神の域に踏み込んだ技術であらゆる命を救ってきた。
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