学舎......?

ふええええええ


こらっ!大声を上げるんじゃない。人にバレるじゃろうが。


助けてー!だれかー!


少女は逃げる


あっ、待て!まだ食っていないというのに


食べられたくないもん


こらっ!そっちへ行ってしまうと


少女は元の明るい世界へ戻ってきた


後ろを振り向くと、そこには先ほどまで恐怖を体験した教室があった


そしてそこには何も無かった


この学舎って何だろう?何だか、怖い感じのところでありそう


今日はもう帰ろうかな


怖いもん


私は8歳。名前はリノっていうの。


この学舎は生徒は年齢は無制限で、誰でも入れて、何かを学べるところらしいの。


自分にとって大切なことを学べるってあったなあ。


私の大切なこと、なんだろう。


それを学ぶためにここに来ました。


それで学舎に入ったらすごく綺麗なところで


いろんな教室を見学しにいきました。見学はいつでも自由だってあったから。


すると変わった教室を発見しました。


ドアの色が、銀色に光っていて、時々青く点滅をしているの。


それが何だろうって思って、入ることにしました。


すると突然風景が変わり、学舎は学舎じゃなくなりました。


すると前の方に変なおじちゃんが現れて。


君はここに来てしまったから殺すよって言われたの。すごく怖かった。


私はすぐに逃げました。するとおじちゃんも追いかけてきたけどなんと逃れました。


そして今、元の世界に戻ってきてる。


早く学舎から帰らなきゃ。あと、退学もしなきゃ。


そして私はお家に帰りました。


するとお父さんとお母さんがいました。


私の顔が真っ青で帰ってきていたから何事かと心配をされてしまいました。


なので説明をする。


「そ、それって....」


「リノ。そこへ行ってからどのくらいそこにいた」


「えっと、すぐに逃げれたから10分くらいかなあ。」


「本当に、そういうところがあったのね?あの学舎に。」


「うん。」


「リノ。これから急いでとある所へ行くぞ。」


「とあるところって、どこー?」


「有名なお兄さんがいる所よ。その人ならリノのことを何とかしてくれるかもしれないわ。」


「なに、リノ、何か変なものがついてるの?」


「かもしれないの。それを確認するためにも、その人の所へ行くわ。」


「うーん。」


「鬼の顔をした、着物を着たおじちゃんだったのよね?」


「うん。鬼の顔をしていて、すっごく怖かったの。」


「間違いない。それは恐らく危ないものだ。」


「二人とも、乗り物出したわよ。乗って乗って。」


みんなは乗り物にのり、とある場所へ向かう。


「いい?九州行くわよ。お通話をかけてみたら、今あの子はお屋敷にいないんですって。それでどこにいらっしゃるのかというと、九州にお帰りになられているのよ!」


「九州へ?!それは少し時間がかかりそうだな。いいだろう。迷ってられない。急ぐんだ。」


「じゃあ、行くわよ。北九州へ。」


乗り物は飛んだ。


はるか高い、上空を飛ぶ。


父はリノの頭をずっと撫でていた。


そうして九州のとある県に着いた。


そこからとある場所は向かった。


「ええと、育ての先生の元へ行ったと言っていたから、こっちかな。」


「待っていろよ。リノ。すぐ着くからな。」


なんだろう、リノ、なんか大変なのかなあ。


乗り物で街並みを走り、やがては山の中へ入っていき、また街へ出た。


さらに進む。


「もう少しよ!」


緊張感が走る。


そうして進むと着いたようだ。


「着いたわ!ここよ!」


そこは、立派な和風のお家だった。


インターホンを押す


すると中から髪の毛の整った男性が出てきた


「はい。いらっしゃいませ。スバル様ですね。」


「お急ぎのところを失礼します。はい。お願いします。」


「了解です。どうぞ、お入り下さい。」


みんなは入る。


そしてその男性にとある部屋へ案内される。


「こちらです。」


入ってみる。


そこには顔立ちのめちゃくちゃかっこいいお兄さんがいた。ソファに座って腕組みをして脚を交差させて寝ていたみたいだった。


「スバル様。お客様です。」


「そうか。ありがとうな。小倉。」


「では、また何かありましたら。」


スバルと呼ばれたその美少年はこちらに向き、座るように言う。


みんなはスバルさんの前に座った。


「話は聞いている。その子が、例の子か。」


「そうです。リノ、挨拶をしなさい。」


「り、リノです。よろしくお願いします。」


私は照れながら言った。だってこのお兄さんかっこいいんだもん。お母さんも照れている感じだった。お父さんも羨ましそうに見ている。


「あぁ。よろしくな。リノ。俺はスバル。今、君にはとある幽霊が取り憑いているんだ。」


「ゆ、ゆうれい」


「ああ。俺はそれを取るお仕事をしているんだ。君の中からその幽霊をとるから安心してな。」


「う、うん!」


「宜しくお願いします、スバルさん。」


「あぁ。リノ、その教室に入った時に何を感じたのか、全てをお兄さんにお話をしてほしいんだ。」


「うん!あのね、その教室は----」


リノは全てを語った。


「なるほどな。実は、最初君を見た時から妙な幽霊が取り憑いていてな、それはおのおじちゃんじゃないんだ。別の鬼だね。今からその鬼を取り除くよ。リノ、こちらへ来るんだ。」


「は、はいっ!」


リノはスバルに連れられてとある部屋へ行った


そこは下に変わった模様が書いてあって、ちっちゃな火が灯っているものもあった。


「この模様の真ん中に座ってね。」


と言われて座った。


「これから君に取り憑いた悪い幽霊を取り除く。ひょっとしたら眠くなるかもしれないから、その時は遠慮なく寝てね。」


「はーい!」


「うん。いい返事だ。じゃあいくぞ。」


そうしてお兄ちゃんは何かを唱え始めた


すると意識が朦朧としかけた


眠りそうになった


その時


----こら!逃げるな!----


そう、誰かが頭の中で言った


そして眠りそうになったその寸前で終わった。


目は覚めた。


「お疲れ様。終わりだよ。これで、お嬢さんへに取り憑いていた悪いのは無くなったよ。そして、その学舎にはもう行くなよ。いいな?」


私は強く頷いた


「ありがとうございました。お兄ちゃん。」


そういえば何だか体の調子がいい感じ。目が覚めたみたいな。


「フッ。いい顔をしているな。お嬢さん。それじゃあ、ご家族さんの元へ帰ろうか。」


そう、顔の間近で言われてドキッとした。かっこいいお顔が真近にあったから。


「は、はいっ。」


そういえば、ふと思い出した。先ほど儀式を行なっている時に聞こえたあの声。「逃げるな」


何だったのだろう


「あの、スバルさん。」


「うん。なんだ?」


「実はさっきあの儀式の時にね」


「うん。なんだ?」


「一瞬だけだったけど、声が聞こえたの。」


「声?それは何と言っていた。」


「逃げるなこらって。」


スバルさんは考えている。するとお部屋に着いた。


「あぁお嬢さん。お部屋に着いたよ。お入り。そしてなお嬢さん。その声は恐らく君が見たその、鬼のおじちゃんだ。」


「やっぱりそうだったんだ。」


声も何となく似ていたからだ。


そしてお部屋に入る。


「あ!リノ!」


「無事か?」


「お父さん、お母さん、ただいまっ!あのね、私に着いていた悪い幽霊、取れたってっ。」


「そうなのですか?スバルさん。」


「あぁ。そうだ。リノさんに憑いていたものモノは全て取り払った。安心しろ。そして、その例の学舎には二度といくなよ。いいな?」


「ははっ!」


二人は返事をした


「そして、その例の学舎はどこで知ったのだ?」


「それが、こちらです。」


父親は機器から画面で見せた。


「これです。」


----ーー学舎!一人一人が自分の個性を学べる所。さあさあ見ていくしかありません!只今絶賛、見学開催中!----


「見たところ、特におかしなところはないように思える記事だ。」


「はい。私たちはこの記事を見て、ここにリノを行かせてみようと思ったのです。年齢に制限はなく、誰でも通えるらしいので。」


「なるほどな。あぁ、確かにそうだとあるね。見学に行き直ぐに入学できるともある。」


「そうでしょう。特におかしなところは何もなくて普通に申し込んだのですが」


「いや待て。これは....」


----ただし 三階の銀の扉には入るな----


「ぎ、ぎんの、とびらには、はいるな」


「リノ、その教室のドアは、何色だった?」


「うん。銀色だった....」


「やはりか。そこが怪しいよな。そこで取り憑かれてしまったのだと思う。」


「はい。」


「てか、普通こうやってだれにも見られないような微細な大きさの文字でするかよ普通。悪趣味だな。」


「こうなものがあったなんて」


「いいや。これは完全にその学舎の悪巧みだ。みなさんは何も悪くない。憑き物はとれたんだ。しばらくの間はここで止まっていけ。今は家には帰らない方がいい。」


「そ、それは、なぜですか」


「今帰ると恐らくだが、リノを追いかけて屯っている。」


「な、なんと、そんなしつこい」


「あぁ。そいつらはしばらくこの子が家に現れなければいいんだ。いないものかと思って出て行くからな。」


「それならばよかった。」


「よかったわね。リノ。安心したなあ。今日は一緒に寝ましょうね。」


「はーい!」


「俺はそのうち生徒を装ってその学舎へ行ってくる。色々と見てくる。俺も見学人的な。ハッ。」


スバルは楽しそうだ。


「お兄さん、あそこ行くの?」


「あぁ。そうだよ。君が行ったところと同じ教室へ行くよ。」


「お兄さん、気をつけてね。」


「あぁ。ありがとう。俺はいいけどな。」


そうしてスバルは小倉に家族全員の世話をするように、と命じた。


ははっと小倉は笑顔で返事をする。


そして更に自分の体内から黒い生物を出す。


その生物にも小倉にしたことも同じことを命じた。


生物は笑って了承をした。


家族はその生物にびっくりしたがスバルが説明をして安心をした。


そうして、今夜はみんなで就寝をした。


そして朝


家族はみんな、その家で落ち着いて暮らす。


スバルは既に中部地方へ向かっていた


乗り物でだ。


「よし。もうすぐ着くな。」


そして着き、降りて、行く。


見たところは綺麗な学舎だ。最近建てられた新築か。


入ってみる。


.......何かがおかしい。


だが今はその違和感よりも三階の例の教室へ行ってみる。


そこには噂のとうりの、銀色で、赤色に光るドアがあった


待てよ


リノの話によれば、ドアの色の光は青色だった筈だ。赤色、だと?


なぜだ


まさか


先ほど感じた違和感。


この学舎で霊気のある部屋はここだけではなかったか


感知している限りではもう一つ


霊気のある部屋があるのだ


リノは偶然にもその部屋に入らなかったんだ


まずはここよりそちらの部屋へ行ってみるとこにする。


霊気的には


そちらの部屋の方が高い


踵をかえしてその部屋へ行く


感知する霊気を辿って


生徒たちも何やら変な気がする


するとスバルは霊気により、胃袋が掻き乱される


スバルは急いでトイレへ行き、吐いた


そして自分の吐瀉物を見て驚いた


この学舎に入ってから何気に摘んで食べたお菓子が消化ができていない。そして微妙に黒ずんでいる。


「俺の体はここにきた時からそれだけやばかったんだな」


流し、再び例の場所へ向かった。


ドアの色は銀色であり、赤色の光を強く放っていた


するとそこに着くと同時にまた吐き気を催し、その場で吐いた


そこで気付いた。


そもそも今日の自分は霊気に塗れてほぼ意識が途切れる寸前である


なぜだろうか


簡単なことだ


今日、九州の家を出る時に小倉やあの生物や家族たちに自分の霊気をかなり分け与えたからだ。


今の自分はかなり弱っているのだ。


その状態でこういうところへ来てしまったのだ。


そりゃあ弱るのも無理もない


スバルは自分の体内からまた生物を生成した


すると生物は喋る


「あっ!スバル様!お久しぶりですー。あの施設の時以来ではありません....かっ?!え、えっ」


生物はスバルの悪い顔色を見て、その隣に見える彼の吐瀉物を見て驚いた


「た、大変だ、今すぐにスバル様の霊気を復活させますっ。」


「あぁ。宜しく頼む。今の俺は、渾身の霊力でお前を呼び出した。」


生物はスバルを抱えて、学舎の外は避難をした。


そして、霊力の源となっている、霊力が湧き出ている自分から出ている霊気をスバルに注ぐ。


スバルの顔色は少しづつ元に戻って行く。


「まだもうしばらくはかかるかなあ。スバル様は霊力めっちゃくちゃ強いから、それを入れるべき容器もおっきいような感じなんだ。だから、まだ。もう少し。」


生物は倒れているスバルの頭を撫でながら行なっている。


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実に、それは日にちを持ち越して深夜になるまでに至ったのだ


「ふぇーい!スバル様への霊力注入完了!」


「あぁ。ありがとうな。」


スバルはすっかり元気そうだ。


「さて。これからまたあの赤い部屋へ行くか。お前もついて来い。」


「へーいっ。」


再び、あの部屋へ向かった


辺りはすっかり真っ暗だ


すると赤色の光は青色だった


「ハッ!やはりか。この学舎、なーんか誰かが黒い思惑で動かしているぜ。」


そして、今の時間は生徒も教師も誰もいない。しかし霊気は感じる。スバルは今は青い光を放っているその部屋のドアを開け、中へ入った。


するとそこには何もいなかった。普通の教室だった。霊気も何も無かった、


「ええ。何でだ。」


スバルは頭を捻る。


じゃあこのここから感じる霊気は単なる消えた後の残りか。


じゃあ、前のあのリノが憑かれてしまった教室にでも行くか


しかし何で急に霊が消えたんだ?


考えながらスバルは例の教室へ向かった


ドアの色は銀色だった。


光の色は青だ。


ドアを開ける。


そこには普通の教室だった。


? ? ?


しかも、霊も何もいないのだ。


「これは一体。そんなはずは」


スバルは考え込んだ


するとドアの青色の光がスウッと消えて、普通の夜の光がともる。


、、、、、。


これは一体どういうことだ


「ともあれ、消えたものは消えたのではないでしょうかねえ。ふふっ。スバル様を恐れたかなあー。」


「そうだろうか。」


二人は学舎を出る


「さてお前は今日は色々とありがとうな。おつかれさま。俺の中に戻れ。」


「はーい!.....あれ?」


スバルも既に感知をしたようだ


既に学舎のとある方向を見ている


屋上だ


そこに赤色の光がともっており、霊気を感じる。


ちょうど今に現れたのだろう


何者だ


行ってみることにした


屋上へ行く


霊気はそれほどではないようだが


着く


そこには鬼の老人が立っていた


「そこで何をしている」


「こっちのセリフだ。お前こそ、ここで何をしているんだ。貴方は何者だ。見たところ、鬼の様だが。」


「ワシはここで何かをしている。それだけじゃ。そしてワシは確かに人外。」


「貴方は近い時に女の子を攫っただろう。」


「そうだが、それが何か。」


「なぜそうなことをしたんだ」


「簡単なことよ。ワシの孫が欲しかったからだ。」


「孫?」


「さよう。この学舎にいるのも子供が来ないかを見張っているのだ。」


「年齢無制限だぞこの学舎。」


「うむっ。それはよしとして、ワシのことは話したぞ。貴方は何者だ。」


「俺のことは貴方の世界では知られていないか?」


「知らぬな。私たち妖怪の世界でも貴方のことは知らぬぞ。」


「マジかよ。普通そっちの世界でなら知られているだろうがよ。俺はスバルという。」


「スバル。聞いたこと無いな。」


「嘘つけ。あるんだろ。顔に出ているぞ。鬼。」


「何と。顔に出ている、だと。」


「あぁ。知ってますって出ているぞ。まあそれはそれとして、貴方の様な存在はそもそも人間界にいる必要があるのか。あるよな。人様のことを驚かせたいもんな。」


「ワシは驚かすつもりなどない。殺すつもりもない。ただ、孫が欲しかっただけさ。」


「孫なあ。それであの子を攫ったのか。」


「そうだが、逃げられてしまった。」


「あの子は殺すと言われたと言っていたぞ。」


「それは勘違いじゃ。ワシはあの子を食べて、自分の中の世界に住まわせようとしていただけだ。」


「勘違い、か。あの子を食べて、か。なるほどな。それをあの子は殺されそうになったと勘違いをしたと。」


「そうなのだろうが、惜しい。あの子は逃げてしまった。」


ふと、妙なことに気付く。


そういえば、この学舎にこの鬼以外に霊気を全く感じない。それどころか先ほどそれが無くなっていたのだ。


俺が感じた霊気はもっと強かった筈だった。


この鬼は特にその様な強さを感じない。


単なる、この主犯の鬼のイタズラか


違和感を感じた


「おい少年。何を考えておる。」


「貴方は、この学舎に他の妖怪を連れてきたりしたか」


「いいや。最初から今まで私一人だが。」


「そうか。変だな。」


「何がだ。」


「俺はこの学舎に強烈な霊気を感じたんだが。」


「あぁ、それはもしかして主催者だろうか」


「主催者?」


「あっその 何でもない。何も言っていない。」


「言えよ。今更だろうが。この俺相手に。」


「いいだろう。貴方は只者ではないようだからね。主催者というのはな、私たちのグループのリーダーだ。今回、自分達の孫を手に入れるためにこの学舎に来た。」


「なるほど。待てよ。貴方一人以外には居ないと言っていたのは」


「主催者はな、ワシの来ているここに興味を突然に持ってここに来たのだ。」


「ならそうと言えばいいだろう。」


「それができないのだ。主催者に口封じをされている。」


「へぇ。全て言ってしまえよ。俺が相手なのだから。」


「あぁ。言おう。主催者は、死んだ。」


「死んだ?」


「そうだ。貴方の仕業でな。」


「俺の?俺は今回貴方以外に誰とも出会っていないぞ。」


「貴方の体液だ。」


「俺の体液?俺は今日は血も涙も流していない。」


「あれだ。貴方は口から何かを流しただろう。」


「あぁ。俺のゲロか」


「そうと言うのか。それだ。その中に貴方の霊気が大量に含まれていてな。それで主催者は亡くなったんだ。」


「なるほどな。それで貴方の様な微細な霊気しか感じないという訳か。」


「そういうことだ。微細な霊気なんて失礼だな。まあいいが。」


「じゃああの銀のトビラに入るなっていう警告は。」


「あの資料の警告か。それワシも見たがあれは確かに不気味だったな。あんなに小さな文字で書かれてあるとは。」


「貴方は何も知らないのか」


「あぁ。知らぬな。ワシじゃないぞ。ワシは単に、孫がほしくてここに居ただけだからな。主催者でもないからな。後で興味を持ってここに来ただけだからな。」


「なるほど。貴方じゃない様だ。」


とすると、これは誰なんだ


「そして、俺は前にここで二つ霊気を感じたんだ。昼間の時だ。三階の銀のドアのある教室二つから。一つは、貴方だな。」


「あぁそうだよ。ワシだよ。もう一つは主催者だ。」


「そうか。主催者は居なくなった。そして無問題の妖怪である貴方のみとなった。あなたはこれからどうするつもりだ。悪いがこれ以上、人間界には居させられない。」


「わしは帰る。人間の孫はこの独り身に愛らしいと思ったが同じく鬼の孫にしようと思う。」


「そうしておけ。じゃあ、またな。後、俺のことを妖怪の世界で知られていないというのはおかしいから、誰かにでも聞いてみろ。今日、貴方が何という存在を話していたのかを知るためにも。俺の名はスバルだ。いいな。.....まぁ、貴方は俺を知っているだろうが。」


「あぁ。そうしてみるよ。またな。スバルという少年。」


ちなみに今後、この老人鬼は後でスバルの事を知覚して身が震える思いをすることになる


スバルは一つの疑問を感じていた。


それでは、誰があの文章を書いたのか?


「ただし 三階の銀のトビラには入ってはいけない」


という文


鬼老人は帰っていた


主催者も消えた


この出来事は単なる彼らの孫欲しさ故の癒しだったとは思えない


黒い思惑を感じるのだ


スバルはとある可能性を考えた


「まさか」


スバルは踵を返して生物へ礼を言って再び自分の体内に戻した。


間違いない。あの人がやったのだろう。


スバルは学舎に戻り、自分の吐瀉物のある場所へ戻った。


すると吐瀉物は人型の化け物になっていた


自分の霊気で単なる吐瀉物が化け物になってしまったのだ。


大きいので、昼間にトイレで吐いた分も合わさっているようだ。


スバルはそれを成仏させた。


そして日頃の自分の胃に感謝もした。


そして学舎を出る。


乗り物に乗り、九州へ帰る。


もうすぐ夜が明けるようだ。


そしてスバルは考え込んだ。


今回の出来事の黒幕を。


家に着くと、家族達はすっかり起きていた。


「ただいまです。」


「おかえりなさい!スバルさん!」


「あぁ。元気にしていたか?」


「ええ!すっかり元気です僕達は。リノも。」


「そうか。それは良かったな。」


中から小倉と生物も出てきた。


「スバル様、おかえりなさいませ。」


「おかえりなさーい!スバルさん!」


「あぁ。ただいま。小倉、ありがとうな。」


「そして、みんな。話したいことがあるからリビングへ移動してくれ。」


みんなはリビングは移動をする


そしてスバルが説明をする


学舎でリノが遭遇をした存在は単なる孫欲しき妖怪であっただけだったということ、リノに憑いていた霊はその存在とは別の霊であるということ、学舎自体には悪霊という霊気はそもそも無く、無問題であるということ、あの不穏なメッセージは何かしら別の存在が書いていたのだということ


伝えた


学舎の生徒が若干、おかしかった雰囲気をしていたのは彼ら鬼による霊力からなる操りだったのだろう。精神をぼんやりさせて、自分達の手に収まりやすい様にしていたのだ。その方が手頃な年齢の孫を探しやすいから。


そして


「食ってやる」というのはその老人鬼が自分の体内に世界を持っており、その中で暮らせるということであり、決して悪い意味合いは何もないのだ。


リノに憑いていた霊はあの鬼ではない。


俺がリノを除霊している時に聞こえてきたという「逃げるな」という声は声自体があの老人鬼と同じでもそれは何者かが化けた音声で、事実は別の存在が喋っていたのだ。


「殺すぞ」と言ったのもその存在だ。


スバルはそれらも伝えた。


みんなは顔色が悪い。


原因はあの学舎ではないのだから。


それでは何が元凶か


実はそれはスバルは既に理解をしているのだった。


「俺は、貴方が黒幕であると思います。」


その人物はリノの母親だった


「えっ ママが」


「あぁ。そうだ。」


「貴方は、自らの何者かへの申し出で悪霊を受け取り、リノさんに憑けました。」


「それは恐らく、リノさんを生贄として差し出すためですね。」


「或いは、人であれば誰でも良かった。だからあのように学舎の説明文を小さく書いたのは悪霊にお願いをして書かせましたね。来るなと書いてあるが、あれは悪霊による呪いがかけられていて、見れば来るようにもなっている。」


「大掛かりにかけば学舎からもおかしいと思われるので、小さく書いたのでしょう。まあ、それで結局は誰も見ませんでしたが。」


「皆さんにお見せをした時はそもそもここ自体が悪霊を受け付けない特殊な場所で呪いが掻き消されました。リノさんを贄として差し出す相手は恐らく悪霊でしょうが、その霊は恐らく美形だ。」


「その悪霊は元俳優でしょうか。」


リビングに沈黙がする


「いいえ。私は、その様なことはしておりませんわ。」


「お前、そうなのか」


「いいえ。違うわ。」


「真実をお認め下さい。お母さん。その悪霊にリノさんを贄として捧げ、彼と一緒に暮らす予定だった。それが、リノが彼の悪い霊気に殺されそうになってしまい、彼との交際を一旦拒否をする事にした、ということでしょう。」


「いいえ、いいえ。私はその様な悪霊など知りませんし。」


「いいえ。貴方は彼に一目惚れをしました。そうして彼が自分と交際をするなら贄を出せと言ったのですね。それがこの様なまでの害があるとは思わなかった。それだけのことでしょうが。」


「いいえ!そんな。私知りませんわ。」


「意地でも認めないおつもりですか。では、実際に彼を呼びましょうか。」


「ええっ」


スバルは数珠を持ち、何かを念じた。


するととある男性が現れた


「ケイコ。」


「何だこの男は?」


「お旦那さん、この人が妻さんがお付き合いをしていた幽霊です。」


その男はなかなかに美形だった。が、不敵な笑みを浮かべている。


「スバルさん。さんきゅ。これでケイコに会う手間が省けたわ。なあケイコ。そろそろその子貰うぜ。」


「聞いてないわよそんなの!」


「知るかよ。お前が俺と交際するなら贄を差し出せって言ったら子供差し出したんじゃないか。」


「知らないわよ」


スバル「ちなみに、貴方の死因は何だ」


「俺の死因は自殺だよ単なる首吊り。それだけ。金がなくなってもういいやってなった。」


「成仏しろよ。」


「えーやだよ。幽霊になったら楽しいし。」


「まだ自分の居所がわからないのか」


「何でもいいよ。なあケイコ、じゃあ、俺との交際をやめるか?」


「ええ。やめるわ。まさかこの子がこんな危害に遭うなんて、思ってもいなかったからよ。」


「この子に、逃げるなという声を発したのは貴方だな。」


「そうだよ。その子の命をもらおうとしたからね。死んでからは人の命が美味くてさ。ずっとこの子に取り憑いていたんだわ。この子が鬼に連れられそうになった時はイタズラでなんか言ってみたけど。」


「とんでもないクズ野郎だな。あんた。」


「死んでからは何の関係もなしさ。」


「じゃあ、早くこの男をここから出してくれ。スバルさん。」


「おう。じゃあ、お前の行いもここまでだよ。じゃあな。」


スバルは数珠を持ち、再び念じた


「あっ!?折角のこの楽しさが」


すると男は嫌そうに成仏をした


「あの霊は証言のために過ぎないから今まで成仏をさせないでおりました。少女を襲ったにしてはそういう雰囲気でもなかったので。」


「お母さん。これからは、どれだけ美しい顔の男がいても誘惑されないでくださいね。」


「ケイコ。俺も今回はいいよ。次回からはやめてくれな。まさかリノがおかしくなった原因がお前だったとは。」


「ええ。ごめんなさい。」


「ママ、パパよりかっこいい男の人なんていないよね」


「ええ。そうね。いないわ。リノ。スバルさん以外は。」


「ママ?」


「いいえ。何でもないわ。」


「君が悪い人じゃないのは分かってるさ。ただ、気をつけるんだよ。」


「ええ。貴方。」


リノに取り憑いていた霊はあの男だった。そして、ここに家族が泊まっていた間に元の家にいた悪霊達は皆、あの男の連れ者だ。そちらもスバルの念で成仏をさせておいた。


「それでは、貴方達は帰るといい。気をつけてな。」


「はーい!またね。スバルさん。今回はありがとうです。」


「良いんだよ。気を付けてな。顔のいい男には。」


「ええ。気をつけますー。」


家族は帰った


今回の出来事は誰が良くて悪いということもない様な気がする


ただ、とある女性のほんの出来心だった。それだけだった。


そこに学舎に住み着く妖怪達が絡んで複雑に見えていただけだった。


まあ結果的にあの学舎も普通の学舎になった事だし、良いんだろうな。これで。


ーーーーーーーーーーーー


妖怪の世界


「何っ!!??超有名霊力ある子供?!」


「そうだぞ。君は知らないのか。ヨイガ スバルを。」


「知らなかったぞワシは!」


「あーそうなのか。そういう子がいるんだよ。人間界に。いや、お前は知っているよ。過去のことだから忘れたかなー。


「じゃあ、ワシが話していたあの少年は」


「そうだよ。敵に回すにはやばい相手だよ。あと、お前は子供の頃の彼に殺されそうになったんだ。あの子が妖怪の世界に来た時に力を見に戦ってみただろ。強かったら孫にするってお前言ってたんだ。思い出したか?」


「............あぁ.......!」


老人鬼は、名前を忘れてもその強さや死に際にさせられた事への恐怖は潜在意識の中で覚えていたのだ


「お前、何もされなくて良かったなー。というか、素直に事情を話したから良かったのだろうが」


「あ、あぁ。そうだね。」


次から人に対しても礼儀には気をつけようと思う老人鬼なのであった

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