貴方の分まで生きるから

@non00987

第1話

夜の街規則正しく並んだが街灯遠くを走る車の光私はこの全てに溶け込む様に長い階段を上がった手すりで佇んでいた、この時間は誰もいない誰も私を見ないだから私は私でいられるこんな時間が好きだ。


「こんにちは?」「うわぁ!!」誰も居ないと思っていたから出したこともない様な声が出た「え...だれ?」「ん?け・い・さ・つ!」「え!やば!」警察?!咄嗟に驚いたがよく見たら警察な訳がない「うそうそ冗談だよ!」「はぁ〜」「それで貴方こんな時間に何やってるの?」「それはお互い様じゃ...」この人こんな時間に何故いるのか?もしかして危ない人?でも何故だろう?初めて会った気がしない、なんなのだろうかこの安心感は「ん?私はいいもん!ただの散歩だから」なんだ同じか「私も散歩です」話す感じ明るくて悪い人ではなさそうだ「そっか!同じか!この時間の散歩気持ちいいよね〜よく散歩するの?」「この時間は人がいなくていい心地がいいので良く散歩してます」「だよね、昼間は人がいっぱいで窮屈なんだよね〜」「貴方も良く散歩に来るんですか?」「私は久しぶり、ほら今日お盆でしょ?実家に帰ってきたからつい汚っちゃって」「へ〜普段はどこに住んでるんですか?」「う〜ん言ってもわかんないよ」「そ〜ですか〜」何か隠したいことでもあるのかな?「ねぇ!ちょっと一生に歩かない?まだいろいろ見たいとこあるんだ!」「わかりました...?」彼女は不意に私の手を取った、私は反射的に彼女の手を振り払ってしまった「え!あ、ごめんなさい手嫌だった?」「いえ、つい...ごめんなさい」「うん、ごめんね、行こっか」見られたくなかった私の手は自分でつけた傷でボロボロだから、それから彼女が最初に足を止めたのは昔今の家に引っ越す前よく行った公園だった「わぁ〜懐かしい〜この滑り台まだあるんだね〜」彼女はまるで子供かの様に私が生まれる前からあった滑り台に飛びついた「それ錆びてるから気おつけた方が..」「イタ!」遅かった「錆が刺さったーー!!」彼女は半泣きで私に抱きついてきた「え?!あ、だから言ったのに...」「傷跡舐めて?」な、舐める!!!突然のことに動揺した「いや、です」「え〜お願い〜!!」「しょうがないな〜」ペロ私は柄にもないことをした普段なら絶対しないことを何故か彼女だけにはした。「うん!ありがとう!」彼女の満面の笑顔を見ていると自分も自然と笑顔になった気がした。


「さぁ!次行こ!」そうして彼女が次に向かったのは子供の頃よく通っていたファミレスだった「ファミレス?」「お腹すいたでしょ?」「いや、別に」グゥ〜〜「さぁ!入ろ」中に入るとやはり深夜なだけあって客は私達だけだった「お客さま一名様ですね、こちらの席どうぞ」「いや、二名です」「え?あ!大変申し訳ございません二名様こちらの席どうぞ」おかしな定員だったな夜だから眠たいのかもしれない「ねぇ!何食べる?」私はいつも決まっていた「ドリア」「ふふそうだよね〜それじゃ私は〜パスタかな」そうしてあっとゆうまに私達の前に注文した品が並んだ「わぁ〜美味しそ〜食べよ食べよ!」「「いただきます」」「う〜ん美味しい〜」彼女がとても幸せそうに食べるのを見ていると食べ慣れたこの味もより美味しく感じた「はぁ〜食べた食べた」「ねぇ?なんでここにきたの?」「昔一度だけ家族できたことがあってね?それがすっごく大切な思い出なの!」大切な思い出か私にはないように感じて羨ましかった。


「次はここだよ」その場所について私の頭は空っぽになった「なんでここ?」そこは私が昔住んでいたマンションの跡地だった「自己紹介するね!私宮部美咲」「み..や..べ..み..さ..き..?」「会いに来たよ幸!」私の頭は混乱しすぎてパンクしていた「お姉ちゃん...なの?」「そうだよ!お姉ちゃんだよ!ごめんね?ずっと一人にして」私は言葉が出せなかった「幸!私ね貴方に会いにきたの貴方を救うために」「救う...?」「お姉ちゃん知ってるんだよ貴方の腕の傷も貴方の部屋のロープも貴方が先月骨折した理由も全部」なんでバレてるのよ...誰にもバレてないはずだったのに...「お姉ちゃんにはお見通しなんだからね!」そう言うと彼女は私を強く抱きしめた「辛かったよね、ごめんね何にもできなくて、こんなお姉ちゃんでごめんね」謝らないでよ...「お姉ちゃんは悪くないよ!あの時私を庇って..」「それでも!貴方は救われなかった、私だけ死んで勝手に楽になって貴方はずっと苦しみ続けてるじゃない!」「だから私もそっち行くよ」「きちゃダメだよ」「え?」「私ね今日は貴方を止めにきたの貴方がもう時期死ぬってわかったから」「いいよ止めなくてこんな地獄より酷いとこなんてないんだから死後がどんなでも関係ないよ」「ダメよ!貴方は生きて」「嫌だ!こんなとこで生きたくない!」「貴方にはまだ命があるその地獄から抜け出す力がまだあるの!だから貴方は今すぐここを抜け出して自分の人生を歩んで、私ができなかったこと全部やって!」「抜け出すなんてそんな無理だよ...」「キャラクターの書いたおっきな缶」「え?」「私が昔大切にしてた缶だよ貴方私の肩身だって引っ越した時に守ってくれたでしょ?」「あ!」「あそこに全てあるからあとはあの缶の中身で飛び立ってあの地獄から」「お姉ちゃん...」「ほら!もう夜が明ける!早く行って」「お姉ちゃん!」「さぁ早く!私の分も生きて!幸せになって」「お姉ちゃん大好き!」その瞬間太陽の光が差し込み私の前から彼女は消えた「お姉ちゃんありがとう...」


その日私は目一杯泣いたあとお姉ちゃんの缶の蓋を開けた「お姉ちゃんあともう少しだったんだね...」その日の夜私はお姉ちゃんの肩身を鞄に詰め込み誰にもバレずに家を出た、それから昨日回った場所をもう一度回り最後姉の墓に手を合わせた「お姉ちゃん行ってきます」「行ってらっしゃい!」微にお姉ちゃんの声がした、「お姉ちゃん行くよ」私は朝日が登りそうな空を背に飛行機に乗り込んだ。

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