第7話 僕達丸い絵に吸い込まれちゃった!?
聖也とタマ先生を見たら、2人共とっても大変な事になってました。何か体が半分地面に入っちゃってたの。それから地面が、目を瞑らなくても大丈夫だけど、とっても眩しく光ってて。聖也が一生懸命に僕のことを呼んでました。
僕は急いで聖也たちの所へ走ります。床が汚れちゃったけど、でもしょうがないよね。だってタマ先生は苦しそうにしてて、聖也は泣いて僕のこと呼んでるんだもん。走って行かなくちゃ。転がってたらダメだよ。
すぐに聖也とタマ先生の所に着いた僕。そしたら2人の所にも、丸い絵がいつの間にか描いてあって。その絵の中に2人共、体が半分入っちゃってたんだ。それで僕が着くと、もっと中に入りそうになっちゃって。
タマ先生が僕の方を見て、聖也を助けなさいって叫びました。その瞬間タマ先生は丸の中に消えちゃって。
『タマ先生!!』
僕はタマ先生も心配でタマ先生のことを呼んだけど。でも今は聖也を助けなくちゃ。僕は急いで聖也の洋服を咥えて、聖也を一生懸命引っ張ります。足と手で踏ん張って、洋服を引っ張って。でもどんどん聖也は丸の絵の中に沈んじゃうの。
「ポチ~!!」
『大丈夫だよ。僕が絶対に助けるからね!!』
洋服を咥えてるから上手くお話できないけど、何とかそう聖也に言います。たぶん分からないだろうけど。それよりも何なのこの変な絵! どうして聖也のこと沈めようとするの? タマ先生は完全に沈んじゃったし。
「ふえぇ、こわい。にに…。にぃにっ!!」
聖也が大きな声で、今度は優也お兄ちゃんのことを呼びました。そしたらさっき聖也が呼んだときは聞こえなかったみたいだけど、今度は聞こえたみたい。優也お兄ちゃんがどうしたんだって。これから寺田のおじさんが来るからなとか、夜のデザートは何にするとか言いながら、ご飯を食べるお部屋から、僕達の方を見てきました。
それで僕達のことを見て、ビックリした顔と、その後は怖い顔して僕達の方に慌てて走って来たよ。
「何だよこれ!! 一体どうなってるんだよ!!」
優也お兄ちゃんが、聖也と僕を抱き上げようとします。それで少しだけ聖也の体が丸い絵から出たんだけど。でもそれ以上なかなか外に出せなくて。優也お兄ちゃんが聖也の体を上げたから、僕は今度は洋服の違う場所を咥え直して。優也お兄ちゃんと一緒に聖也を引っ張ります。
優也お兄ちゃん、もっと引っ張って。僕ももっと一生懸命引っ張るから。僕がそうお兄ちゃんに言おうとしたときでした。また変な事が起きたんだ。聖也の所に描いてあって、さっき僕の下にも描いてあった絵が、また僕の下に現れたの。それで丸い絵は合体して1つの大きな丸い絵になりました。
「な、何だ!?」
それで今度は3人一緒に、丸い絵の中に沈み始めたんだ。優也お兄ちゃんが泣き叫ぶ聖也をしっかり抱っこして、僕のこともしっかり抱っこしてくれます。
「にぃに~!! こわい~!! うわぁぁぁん!!」
「大丈夫、大丈夫だぞ。お兄ちゃん一緒だからな。ほらポチも一緒だぞ」
『そうだよ!! 僕も一緒だよ。いつも何処でも僕は聖也と一緒でしょう!』
「ほらポチもわんわん吠えて、一緒だって言ってくれてるぞ」
あれ? 優也お兄ちゃん、今の僕の言葉は分かったの? そう思った瞬間、僕達は丸の絵の中に完全に沈んじゃいました。
「おい、勝手に入るぞ。何を騒いでるんだ? 優也、聖也? 何だ? 何処にいるんだ? おい!! 何処だ!! 今まで声が聞こえてたはずなのに。おい!! 優也!!」
僕達3人は今、真っ白の中を進んでます。白い空間の中を浮かんで進んでる感じ。聖也は優也兄ちゃんにしっかり掴まって、それから優也お兄ちゃんのお洋服に顔をくっ付けてヒックヒック泣いてます。僕はそんな聖也のお顔をそっと舐めてあげて。
「うぇ、ポチ、いちょ」
うん。僕一緒だよ。う~ん、僕達何処に行くのかな? そういえば、タマ先生大丈夫かな? 僕は優也お兄ちゃんと一緒だから怖くないし。あっ、でも本当はちょっと怖いけど。でも聖也を守ってあげないといけないから、しっかりしないとね。だけどタマ先生は先に1匹で、あの変な丸い絵の中に入っちゃったでしょう?
タマ先生も今の僕達と同じ、この真っ白の空間を進んでるのかな? それとも別の場所にいるの? 僕タマ先生が心配です。
「一体どこに向ってるんだ? 大体ここは何なんだ?」
『優也お兄ちゃん、もし変なのがこの真っ白の中に居たら、僕が噛みついて聖也の事守るからね!』
「何だポチ? お前も心配してるのか? 大丈夫だぞ。俺が守ってやるからな」
違うよ優也お兄ちゃん。さっきは僕の言った事分かったのに、今度は分かんないの? もう、どうして人は僕達の言葉分かってくれないのかな? 分かってくれたら聖也のこと、もっと安心させてあげられるのに。お兄ちゃんにもきちんと伝えてさ。
それからもどんどん真っ白い空間を進んだ僕達。たぶん進んでると思うんだけど。だってずっと真っ白だからよく分かんなくなっちゃった。
その時お兄ちゃんが『ん?』って言って、目を細めて真っ直ぐ前を見つめました。それを見て僕も前を見ます。聖也はお気に入りの犬のぬいぐるみのお耳を咥えて静かにしてて。もう泣いてないけど、とっても怖がってるの。
お兄ちゃんが見てた方に、金色に光ってる物が。もう聖也のこと怖がらせないで。そう思いながら僕達はその金色の光りに近づいて行きました。そして金色の光りの前まで来ると、金色の光りは、あのさっきの丸い絵みたいになって。僕達はまたその絵の中に入って行きます。そして…。
僕達のことを金色の光りが包みました。
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