第27話#航大side


いつにも増して、陽斗の刺すような視線が痛かった。



普段は柔らかい奴なのに、仕事中は人が変わったように闘争心を見せる。





分かるよ、俺も今回の曲に賭けてる。

一緒に上へ行こうな。


そういう気持ちを込めて、陽斗の肩を叩いた。







レコーディングブースを出て携帯を見ると、まだ19:00。

一瞬、理沙子の顔が浮かんだ。




胸が握られる。


いつから、理沙子を思うと痛みにも似た感覚が。胸を押さえるようになったのか。








行くか。


次の仕事は20:30から。

顔見れても、今回も一瞬だな。ペットボトルの水をゴクリとあおり、口元を手の甲でぬぐった。







そのとき、着信が入っていたことに気づく。

タップして開けば。







ここ一年、別れ話をすれば行方をくらます。


俺を決して自由にしない。










あの人からだった。

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