3.5.『王家秘伝の』
王城までの道をライドと話しながら歩いていると、こんな話が上がってきた。
「そういえばユウヤ、君、さっきの女の子のこと気になっているのかい? もしそうなら、王家秘伝の口説きテクを教えてあげようか?」
「王家秘伝の口説きテクって何!? てか、気づいてたのかよ!?」
俺があの女の子を気になっていることを感づかれたらしい。そんなにわかり易かったか?
「だって君、あの子と話しているとき、少し頬が赤く染まっていたし、ちょっとばかし、クサいセリフも言っていたからね。あれで気づかない人はいないと思うよ?」
「マジで!? まぁ確かに、可愛い子だなとは思ったよ。……正直、俺の好みだったよ! でもよ、誰かに、何かに頼るのは駄目だと思うんだ」
「へぇ、カッコいいじゃないかユウヤ。それでこそ選ばれた勇者だ」
ライドは感心したとばかりに軽く拍手をした。
「でも、王家秘伝の口説きテクとやらは一応、後日詳しく聞かせてもらうけどな。あ、勘違いすんな。今後の参考程度にしておきたいだけからな。一応だからな」
「ユウヤ、さっき女の子を助けた君も数秒前の君もカッコいいと思ったけど、やはり、人は根本は変わらないものなのかな……」
「そんな残念そうにすんなよ!? ってか、お前から今の話、フッてきたんだからな!?」
ライドに本当に残念なモノを見る目で見られ、俺のガラスのハートが傷ついた。
「そういうお前はどうなんだよ!」
「僕はそもそもの話、王子だからね。女性には困ってないよ。昔から毎年行っている国のカッコいい男性ランキングで一位を獲得してもいるしね」
「何そのランキング!?」
異世界感の全くないものが出てきた。
「王家秘伝の口説きテクなんて無くとも、僕は
「助けられてばっかで忘れてたけど、お前やっぱ、性格悪いな」
「これでもいつもよりは甘い方だと思うけど?」
「いつもはもっと酷いのかよ!?」
(ライドは性格の悪さを抜いたら、強くて正義感があって、いい奴なんだけどなあ)
俺は隣にいる、残念性悪イケメンのことを思いながら、歩みを進めた。
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