千一話 決まった

「アラッド様、こちらへどうぞ!!!!」


「ど、どうも」


王都に到着したアラッドたちは、いつも通り一般人たちが並ぶ列に並んでいた。


ただ、巨狼に風鳥、そして白毛大猿という三体の従魔を従える者たちは……非常に目立つ。

それを見た門兵たちは直ぐにあのアラッドたちと気付き、貴族たち権力者が並ぶ列へと案内され、サラッと中に入ることが出来た。


「ねぇアラッド。今度からさ、列が二つある時は権力者用? の列に並んだ方が良いんじゃないの?」


「……その方が、良いのかもしれないな」


アラッドとしては、現在自分は冒険者として活動しているため、なるべくそういった恩恵を受けないように行動したいと思っている。


使うべき場面では惜しげもなく使うが、それでも列に並ぶことなどで、わざわざ侯爵家の令息という威光を使うつもりはない。


(しかし、そうだよな……わざわざ一般の列に並んでいた人間が、向こうの列に並んでくださいと言われて移動する光景を見て……一般の人たちは、あまり良い気がしないか)


自分の行動が一般の方々を不快にしているかもしれないと思い、とりあえず今後はその辺りも考えて行動しようと決めた。


「ところでアラッド、先に宿を見つける? それとも、王城へそのまま向かう?」


「……まず、王城へ向かおう。まだ時間的にも、宿探しは急がなくても問題無い筈だ」


時刻はまだ昼前ということもあり、アラッドたちは王都に入ってからそのまま王城へと向かった。


王城に入るには関係者でなければ、基本的にアポなしで入ることは出来ないが……アラッドは、一応騎士の爵位を有している。


「アラッドです。本日は国王陛下に呼ばれて参りました」


「「お疲れ様です!!!!!」」


王城の周辺を警備している騎士二人は、あまりアラッドと年齢が変わらない……寧ろアラッドたちよりも年齢が上だが、それでもビシッとした敬礼で対応。


一人が超早歩きで確認へ向かった。


「アラッドさん、お仲間の方々。ご活躍は耳にしています」


「そ、そうですか」


「私たちもアラッドさんに負けぬよう、日々精進していこうと努めています!!」


若い騎士たちの中で、アラッドの評価は割れている。


騎士の爵位に付きながら、騎士として活動しない行動に対する不満。

そして、現在冒険者として活動はしているが、それでも大きな功績を上げ続けている姿に対する憧憬。


今回警備を行っていた騎士たちは、後者であった。


「……そう思われてるとは予想していなかったので、少し照れますね」


「何をおっしゃいますか。恐ろしき闇竜を打ち破ったアラッドさんに対して僻む者など、ただの負け犬です!!」


そんな事を割と大きい声でハッキリと口にして良いのかとツッコミたいアラッド。


足して、一歩後ろにいるスティームとガルーレは「良く解ってるじゃないか」と、満足気な表情を浮かべながら頷いていた。


その後、直ぐに確認を取れた騎士が戻り、三人は国王が待つ部屋へと案内される。

クロたちは王城の中には入れないため、乗馬用の馬たちがいる場所へと案内され、馬であっても狼であってもブラッシングに慣れている職人たちに癒されていた。




「陛下、アラッド様たちをお連れいたしました!!」


「ご苦労、入れてくれ」


「はっ!!!」


部屋の中から返ってきた声から、アラッドは多少の事情を察した。


(先日、ガルーレが話した内容が絶対にあり得ないとは言えないが、まず……あの件が関わってるだろうな)


中に入ると、陛下と宰相と護衛騎士の二人が待っていた。


「さぁ、座ってくれ」


国王に促されるままにアラッドはソファーに腰を下ろすが、スティームとガルーレはソファーの後ろに立ち、座ろうとしなかった。


「そちら二人も、座ってくれて構わない」


「いえ、そういう訳には行きません。一応僕は他国の者なので」


「私はそもそも貴族ですらないので」


それらしい理由を告げる二人がだが、本音を言うと……自分たちが座る事で、護衛の騎士が面倒な発言や行動を起こさないかが心配だったから。


「そうか……では、三人とも直ぐに来てくれた助かった。本来であれば、のんびりと冒険譚を聞きたいところだが、早速本題に入らせてもらう」


「はい」


「以前から話していた事だが……ゴリディア帝国との戦争が、正式に決まった」


「っ……ついに、決まりましたか」


望んでいた訳ではない。

しかし、先に仕掛けられた身としては、落とし前もつけさせずに穏便になぁなぁに済ませることなど、出来ない。

それはソウスケも理解しているため、戦争が行われると決定したことに対し、特に反論などはなかった。


「先日の闇竜の討伐でフローレンスたちに力を貸してもらったにもかかわらず、早々に済まない」


「いえ、先日の闇竜との戦いでは、自分たちもフローレンスたちがいなければ討伐することは難しかったため、こちらこそ力を貸してもらったと思っています」


謙虚な態度で対応するアラッドだが、国王は国王でフローレンスからの報告を聞いているため、アラッドが気を遣っていることは思いっきりバレていた。


「ふふ、そうか……では、少し詳細な話をしよう」


戦争が起こる、そう決まった以上、国王としても負けるつもりは一切なく、現時点でアラッドに伝えられる情報を全て伝え始めた。





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本日から新作、「チートはズルくて卑怯? バカ野郎、だから使うのが楽しいんだろう!!! ゲームのやり過ぎで死んだ大学生のセカンドライフ」の、連載を始めます!!!


カクヨムコンテスト十に出す作品ということもあり、是非とも読んでいただけると幸いです!!!

当然……カクヨムコンテスト十の応募期間が終わるまでは、毎日更新を続けていく予定です!!!


そして……新年になりましたら、新作投稿第二弾を始める予定ですので、楽しみに待っていてください!!!!

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