百二十七話 ビジュ爆発

(あれはヴェーラ嬢と……もう一人、ちょっと鋭い雰囲気の麗人? って感じの令嬢がいるな)


ヴェーラ嬢の隣に座る令嬢を見て、将来女子にモテそうな麗人になると直感的に感じた。


(それと、あの令息は……絶対に優男だよな)


アラッドと同じ令息は百人が見て、百人共イケメン……そして優男と思われるであろう見た目をしていた。


(絶対に将来モテるだろうな。いや、今回のお茶会に参加してる時点で親の爵位はそれなりだろうし……現時点でモテてもおかしくないか)


ヴェーラ嬢がもう一人の令嬢の隣に座っているので、アラッドも優男の隣に座ることにした。


「失礼」


「いえいえ。噂のアラッドさんが隣に座ってくれて嬉しいですよ」


「そう言ってもらえると嬉しいよ」


優男の言葉は、決して全てがお世辞ではない。


フールの親バカは止まっておらず、子供たち全員の自慢をすれど、中でもアラッドの自慢割合が多い。

そして噂ではあるが、女性騎士にタイマンの勝負で勝ったという話もある。


そんなアラッドが自分の隣を避けて座らなかったことに、優男は少なからず安心感を持った。


「ベル・サンドレア殿……で、合っているかな」


「えぇ、名前を覚えてくれているとは光栄だよ。是非、ベルと呼んでほしいかな」


「それなら俺もアラッドと呼んでほしい。さんは不要というか……むず痒い」


「ふふ、分かったよ。」


マッシュより少し長い金髪で笑顔に愛嬌がある令息

第一印象は、ギーラスに似た優男であり、ある程度良い人物。

そこまで害はなさそうだと感じた。


(優男だが、見た目は王子様タイプといったところか。ギーラス兄さんとはまたちょっと違うタイプの優男か……こりゃ是が非でも付き合いたいって令嬢が多そうだ)


それがベル・サンドレアに対するアラッドの印象だった。


「あなたがアラッド・パーシブルか」


「はい、自分がパーシブル家の三男、アラッドです……レイ・イグリシアス殿でよろしかったか」


「あぁ、その通りだ。それと、普通に喋って欲しい。あなたと同じく、敬語はむず痒い」


「……分かった」


赤髪のポニーテール、そして鋭い目。

しかし容姿は美しいという言葉が似合うが……アラッドは刀の様な令嬢だと思った。


(なんとなくだけど、この世界だと東洋の美女って言葉が似合うな。もしかしてイグリシアス家にはそういった血が混ざってるのか? でも、この前パーティーで会った祖父のバイアードさんはそういった雰囲気も容姿も持ってなかったよな?)


隔世遺伝という可能性もあるが、そこまで深くイグリシアス家のことを知らないアラッドには、何故レイに少し日本人らしさがあるのか分からない。


「ヴェーラ・グスタフ。レイやベルと同じで、敬語は不要よ」


「分かった」


ヴェーラに関しては先日、偶々バッタリ街中で出会ってしまった。

しかしヴェーラの言葉から先日会ったという事実はなかったことにしてほしい、という思いが込められていると察して話を合わせた。


(金髪のウェーブ……ベルも綺麗な金髪だが、ヴェーラの髪色は更に質が高いな。ルリナ姉さんも綺麗だけど、ヴェーラ嬢とレイ嬢も全く負けてないな)


ルリナも含め、三人とも美しいという言葉が似合うが、全員美しいの種類が違う。


(家の人たちは俺もカッコイイと言ってくれるが……果たして今日集まる子供たちの中で劣っていないのか……とりあえず同じ男として、ベルには負けてるだろうな)


長男であるギーラスと同じイケメン優男タイプのベルをチラッと見て、心の中でため息を吐く。


そして直ぐに他の四人も集まり、ついにお茶会が始まる。


全員が集まった段階で、アラッドは先程まで似た様なことを思った。


(……マジで全員、顔面のスペック高いな)


レイとヴェーラの他に、シュテイン侯爵家のマリア。

こちらはベルと同じく、アラッドは優しい雰囲気を感じたが、少々腹黒さも同時に感じた。


(綺麗な青色のロングストレート……清楚系アイドル? って顔だけど、ちょっと仮面を被ってる気がするんだが……気のせいじゃないよな)


そして最後の令嬢。

アラッドはその令嬢を見た時、ギリギリ顔には出さなかったが内心ではかなり驚かされた。


ミューラー侯爵家の令嬢、エリザ。

こちらの令嬢、髪が金髪の縦ロールなのだ。


(金髪の縦ロールに自信満々の表情……そしてその表情が正しいと思えるちょっと上から目線の美人系の容姿……まさにザ・令嬢だな)


残りの令息二人に関しても、キャラがハッキリしていた。


ワード辺境伯の令息、リオ。

こちらはアラッド的に、次男のガルアに似て兄貴肌のイケメン。

見た目通りとても元気な令息だった。


(赤髪で坊主じゃないけど短髪。やんちゃ坊主って雰囲気がない訳ではないけど……将来的に頼れる若頭……じゃなくて、兄貴分になりそうだな)


そして最後の一人、フィールド侯爵家のルーフ。

ルーフはヴェーラのように口数が少ないというよりも、若干コミュ障タイプ。


(茶髪で……韓流ショートって髪型だったか? でも若干目が隠れてるし、もう少し髪切った方が良さそうな気がするが……こりゃ目を完全に見せる髪型にすれば惚れる女子が多そうな母性本能を刺激するタイプ? の顔だな)


完全に自分に自信がない見た目と雰囲気を持っているが、アラッドはルーフが内に宿す魔力の大きさを感じ取っていた。

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