五十七話 面白そうだしやってみるか
(俺に指導してほしい、ねぇ……まだそんなに強くないし、弟子を持つような歳でもないと思うんだけどな)
歳に関してはその通りだが、実力に関しては確実に飛び抜けているので、そこだけを考えれば弟子を取っていてもおかしくない。
「……ちなみにだが、お前らは全員戦闘系のスキルを授かったのか?」
「剣技のスキルを授かりました」
「俺は槌技のスキルを授かったぞ!! いてっ!!!」
「だからちゃんと敬語を使いなさいよ!!! 私は火魔法のスキルを授かりました!」
「わ、私は光魔法のスキルを授かりました」
四人が授かったスキルを聞き、アラッドは少なからず驚いた。
(授かるスキル多少……本当に多少だが、血筋が影響する。にも拘らず、仲の良い四人組全員が戦闘で使えるスキルを持っているとは……案外運命ってやつなのかもしれないな)
特に光魔法をスキルとして授かるのは大変珍しい。
このまま順調に育てば、有名どころのクランから誘いを受けることもあるだろう。
「嘘は言ってないみたいだな……なぁ、普通の人をうちに招くのは大丈夫なのか?」
「そうですね……アラッド様がいつも訓練を行われている場所に連れて来るのであれば、問題はないかと思います」
「そうか。まぁ、帰って父さんに相談しないと明確な答えは出せないが……ふふ、面白そうだな」
誰かを育ててみる。
それはそれで面白そうだと思い、少年たちの願いを叶えることにした。
とはいえ、まずはフールに許可を取る。
そして訓練を行う日を決めなければならない。
というわけで、次の日の丁度昼に集まってもらうことにした。
屋敷に帰ってから夕食を食べ、早速のその件に関してフールに相談。
「ふふ、確かに面白そうだね。良いよ、子供たちと一緒に訓練を行う日はアラッドが決めるといい」
「分かりました」
幸いにもこの世界は時間や週、月と年の区切りが前世と一緒なのでいつ訓練を行うのか、日程が決めやすい。
子供たち……バーク、ダイア、アミット、エレナから頼まれた件についての話は終了。
話は本題のメタルリザードと戦った件に入る。
「そして父さん、今日はメタルリザードと戦いました」
「うん、少し前に聞いたよ。ちょっと今回ばかりは心臓が飛び出るかと思ったよ」
アラッドがただの子供ではないと解っていたつもりだが、メタルリザードはCランクの中でも強いモンスターに分類される。
防御力が高く、鋼鉄のブレスは対象に衝撃を与えるだけではなく、細かい鉄で体を斬り裂く。
その他にも尾や爪から放たれる攻撃は油断ならない。
そんなモンスターと遭遇して戦ったというだけで驚きなのだが、メタルリザードの倒し方を聞いて更に驚かされた。
(スキル技の連続発動はベテラン並みの経験がないと普通は行えないんだけどな……アラッドの経験数を考えれば、既にベテランでもおかしくないか?)
フールの中で色々と常識が崩壊していく。
そして結局は我が子が特別なのだろうということで考えは収まった。
「それでメタルリザードが出現した理由に関してなのですが……」
「鉱山が復活してるかもしれない、ということだよね。だとしたら僕も有難いけど、その理由を明確に知らないとだよね……アラッドとしては、高ランクのモンスターが住み着いたからという説を押してるんだよね」
「可能性的にはそれが一番高いと思います」
複数の可能性がある中、アラッドは高ランクのモンスターが住み着いたから、という理由が一番高いと感じた。
それはフールも同じだったが、表情が少々苦い。
「もしそうなら、廃鉱になる前の地図は意味がないかもしれないね」
「……鉱山がモンスターの力によって復活したから、ですか?」
「そうだよ。もし本当に廃鉱を鉱山に変える力を持つモンスターが住み着いたのなら、坑道が変形していもおかしくない」
そうなれば一から道の確認を行い、そして住み着いたモンスターと友好な関係を築かなければならない。
そこでアラッドはメタルリザードを倒してから街に着くまで考えていた案を伝えた。
すると……二度あることは三度ある。
フールはまたしてもアラッドの凄さや発想に驚かされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます