十八話 まさかの縛りプレイ?
ソルバースとの授業が終わり、無事アラッドは錬金術のスキルを習得することができた。
錬金術の師であるソルバースと別れ、翌日からモンスターを倒しながら薬草とマナ草の採集を同時に行い始めた。
「本当に錬金術のスキルを習得したんすね」
「それなりに腕が立つ錬金術師から色々と教えてもらったからな」
「いや、だからといってそんな簡単に覚えられるスキルじゃないっすよ! やっぱりアラッド様は多才っすね」
モッチから無意識によいしょされる感覚は決して悪くなかった。
「……まぁ、そうかもしれないな。んで、折角錬金術のスキル手に入れたんだから定期的に薬草やマナ草を使ってポーションを造り、少しずつ腕を上げていこうって流れだ」
「アラッド様らしい流れかと。ですが、採集するのは本当にその二つだけでよろしいのですか?」
「あぁ、まだ錬金術を習得したばかりだからな。焦って色々と手を出すのは良くない。まずはじっくり基礎から固めていく」
錬金術のスキルを習得出来たのは喜ばしいことだ。
だが、焦って段階を飛ばそうとしてはならない。
最終的にこんなマジックアイテムを造ってみたいという目標はあるが、まずは一歩ずつ着実に。
そして錬金術に加えて、アラッドはエクストラスキルである糸を手に入れたことで、強制的に裁縫が得意となった。
更にただ裁縫が得意なだけでなく、モンスターの素材や鉱石を糸に変えることができる。
(糸だから裁縫とかできるようになるかもって思ってたけど、まさかここまで物作りに関しての技術が増えるのは予想外だったな)
現在は錬金術のことで手一杯だが、いずれは裁縫関連にも手を出したいと考えていた。
「そういえばアラッド様、今レベルいくつぐらいになりましたか?」
「……八だな」
家に仕える者には隠す必要はないと思い、サラッと自身のレベルを教えた。
しかしアラッドのレベルを聞いたユーナは一つ疑問に思った。
その疑問を感じたのはユーナだけではなく、モッチとノーラスも同じ疑問を抱き、首をかしげる。
「アラッド様、それは事実なのですか?」
「あぁ、事実だぞ。ほら」
アラッドは自身のステータス欄のレベルだけを三人に見せた。
「嘘は吐いてないぞ」
「そう、ですね。疑って申し訳ございません」
「別に良いって。でも、疑ったのには何か理由があるんだろ」
理由は分からない。
だが、三人とも同じような表情をしたのには、何か明確な理由がある。
それだけは分かった。
「えっと……アラッド様は二日に一度モンスターを狩りに森へやって来てるじゃないっすか」
「そうだな。腕が鈍らない為にはそれぐらいのペースが丁度良いだろ」
「……そ、そうかもしれないっすね。それで、アラッド様は遭遇したモンスター全て戦って勝ってるじゃないっすか」
「今のところ逃げるような……もしくはお前たちの手を借りるような相手と遭遇していないからな」
今のところDランク以上のモンスターとは全く遭遇していないので、余裕を持ってモンスターを狩って素材を売り払っている。
「それで、これは俺たちの感覚なんすけど、アラッド様が倒したモンスターの量を考えると……既にレベル十を超えていてもおかしくないと思うんっすよ」
「……まぁ、結構多くのモンスターを倒してはいるな。でも、レベルが上がるにつれてレベルアップに必要な経験値は多くなるだろ。それを考えれば、今はこれぐらいでもおかしくないんじゃないのか?」
アラッド的には現時点でレベル八もあり、同年代と比べればかなり差をつけることができているといった感覚。
だが、モッチたちの経験則からしてまだレベル八というのはあり得なかった。
「もしかしたらですが、アラッド様は他の人よりもレベルアップに必要な経験値が多いのかもしれませんね」
「えっ……それって超不利じゃないか」
転生してそれなりに上手くやっていたと思っていたが、思わぬところで縛りプレイが発生していた。
その事実に目から生気が消えかける。
「だ、大丈夫ですよアラッド様!!! これは確認されている内容なんですけど、レベルアップに必要な経験値が他人より多く必要な人は、どうやら他の人よりも身体能力や魔力総量が多く上昇するようです」
「そうなのか? まぁ……それならこの状況を甘んじて受け入れるべきか」
レベルを上げるの為に他人より多くの戦闘を経験しなければならない。
だが、能力の上昇値が他人と比べて高くなる。
それなりに見合ったメリットが付いてるので、一先ずアラッドの目に生気が戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます