第51話
大丈夫。子供を信じていればいいんだ。
高校生にもなって、親とべったりな子のほうがきっと、心配しなくちゃいけないタイプで……。うちの子天使だし、順調に成長してるんだよね。うん……。
「あー、もうっ!寂しいなぁ!」
ふと、再婚という言葉が再び頭に浮上する。
優斗が私のことを心配しないようにって考えたけれど、実際私も優斗がいなくなったら寂しくなるのか……。
母親がいなくて、恋しく思っている、小学生くらいの女の子を持つシングルファーザーとか……私をお母さんだと思ってくれる女の子がいる人とか……。子供思いな男性。優斗だって、母親には相談しずらいこともあるかもしれないし……。そういう人を探すのはどうだろう?
いや、逆に子供を理由に再婚しようなんて、子供を利用するみたいでよくないのかな……。
優斗がふらりと飲み物を取りにやってきた。
「ねぇ、優斗、妹欲しい?」
冷蔵庫の中を覗き込む優斗に軽い調子で尋ねてみた。
「ほ、欲しい!妹、お、弟は嫌だっていう意味じゃないけど、妹欲しい!」
グリンとものすごい勢いで優斗が私を見て熱弁する。
「あ、えっと、そう」
兄弟が欲しかったの?
「もしかして、母さん再婚するの?そういう相手がいたの?……な、なんだ、そうか、春計画とか必要なかったんだ」
「春計画?」
「い、嫌何でもない、それで、どんな人なの?」
めっちゃ優斗が食いついてくる……。
「あー、相手はいないんだけど……その、子連れ見合いパーティーみたいなのとかあるって聞いたから……」
聞いたのはもう5年も10年も前の話だけどね……。昔は再婚を何度も進められた。小さな子供を一人で育てるのは大変だからって……。
「なんだ、再婚したい相手がいるわけじゃないんだ。っていうか、子連れ同士の結婚を考えてるなら、妹はいらない、絶対いらない」
ちょっと怒った様子で優斗がばたんと乱暴に冷蔵庫のドアを閉めて出て行ってしまった。
……そういえば、血のつながらない妹と同居するのは気を使うからいやだって言ってたっけ?
そう、だよねぇ。私だって、もし血のつながらないお兄ちゃんが突然できても……困っただろうなぁ。幼稚園くらいのころまでに一緒に暮らし始めるならまだしも、思春期前後からとか絶対にきついと思う……。
んーと。考える。
でも、優斗、妹欲しい!って言ったよね?
でも同居は嫌?
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