世界の終わりと世界の始まり

風乃音羽

第0章 プロローグ

「ハヤク ハシッテクダサイ!ソコノアナニ、ハイッテ。ヤツラニミツカラナイヨウ、ニオイケシマス」

不思議な粉をかけられて、薄い透明の布を僕らにかけた、、


僕らを、あの暗くて冷たくて、ジメジメした場所から、助け出してくれた白い巨人。


敵なのか、味方なのか、悪い奴なのか、いい奴なのか、そんなことはどうでもいい。


何日?何ヶ月?手足を隣の子どもどおし、くくられて、動けないまま、


多分1日に2回、味のないものを食べさせられてきた。

それ以外は、何もしないあの部屋から、まさか出られるとは思っていなかった、ほんの30分前、突然天井に丸い穴があいて、人が降りて来た。


虚な僕の目の前に、全身白く光るつなぎを着た大男7人が、天井の穴からスルスルと降りて来た。


この部屋の子どもの数は少なくとも20人、泣き叫ぶことも忘れてしまった僕たちは、お互いの体をロープで繋がれたまま床にうずくまるように座っていた。


大男たちが、そのロープを切って、僕たちは、何ヶ月かぶりに手足が自由になり、立つことが出来る状態にしてもらえた。けれど、弱りはてていた身体を立ち上がらせることも難しい。


1人の大男が、僕の目の前に立った。

「えっ!!」

大男と言っても、普通の人間のサイズの大男ではない。


地べたから見上げてるからよく分かってなかったけど、近くで見ると、多分、普通の背の高い人間の1.5倍はある。3メートルくらいはあるのではないだろうか。


急に怖くなった。


やっぱり夢を見ているのだろうか?


「コレヲノンデクダサイ」


小さなボトルをみんなに配っている。


何を飲まされるのか?


でも、そんなことはすでにどうでもいい。


ここに連れてこられてから、死んだも同然の生き方。実際、途中で弱りはて、死んでしまった子どもも何人もいる。


ほぼ無意識のまま、呆然と受け取り、このまま生きてるくらいなら、別に死んでもいいから、飲み干した。

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