第2話 異世界召喚2
「──あ、
異世界行きを決めた俺は『その前に少し説明を』とアルテナに呼び止められる。
「ああ、助かる。俺も少し聞きたい事もあったしな」
〝魔法〟や〝魔力〟がどうのってさっき言ってたからな。異世界に着いてからそっちで聞いてみてもいいが……正直効率も悪い。
せめて、基礎知識ぐらいは聞いておきたい。それにアルテナが教えてくれるなら願ったり叶ったりだ。
「はい♪ では、まずは魔法や魔力の説明から♪」
可愛く人差し指を立てアルテナは話し始める。
「──異世界では皆生まれた時から皆多かれ少なかれ〝魔力〟を持っています。勿論、人によって〝魔力〟の
天と地ほどって……そんなに違うのか?
〝魔力〟これはよく試してみないとだな。
「次に魔法ですね。魔法は魔力を使い撃ちます。魔法は〝詠唱〟のある物や〝無詠唱〟の物〝詠唱〟のある物でも人によっては〝無詠唱〟で使えたりします♪」
これは、まあ、思ってた感じだ。
「そういや、俺がいた世界で使っていた〝治癒能力〟は魔法の
あと、何で〝病気〟や〝怪我〟は治せたのに〝普通の風邪〟は治せなかったのだろう?
まあ、これは別にどうでもいいか……
「はい、異世界から見れば完全に魔法ですね♪ 疲れたのは魔力を無意識に使っていたのでしょう──ただ、普通は
(まさか神様にチートと言われる日が来るとは……)
「元の世界では〝魔法〟や〝魔力〟は完全に無い筈って、言うのは具体的にどういう意味なんだ?」
「そうですね♪ あまり詳細まではお話出来ない決まりなのですが、簡単に申しますと、
(我々神々によって完全に切り離されてるって……正直、あまりピンとは来ないが、とにかく今までいた世界とは、完全に
「それと異世界では、皆生まれた時から魔力を持っているという話をしましたよね? でも、逆に
「異世界とじゃ、人として生まれた時からその時点で、もう根本的な身体の構造が全く違うって事か?」
それが俺は〝異質〟と言われた理由か。
持ってる筈の無い世界の人間が、持ってる筈の無いものを持ってたわけだからな。
「はい。その解釈で問題ありません。それに失礼ながら、
アルテナはションボリと謝ってくる。
気を使ってくれたのか? 優しいんだな。
「別に気を悪くして無いから気にしなくていい」
話を聞く限り科学と魔法の違いみたいなものか?
確かにそう考えると、魔法のが便利そうだしな。
それに極端な話──科学進歩がゼロの
だが、そもそも魔力が存在しない
そう考えれば、俺が生まれた世界よりも、これから行く異世界のが魔力や魔法のある分、
「ありがとうございます。ちなみに
「へぇ、そんなのが変化があるのか?」
「正確には
制限されていたのか?
これについては俺は少し驚く。
「ですから、
「分かった。それと、ちなみになんだが異世界には、死人を生き返らせる魔法はあったりするのか?」
唐突に俺はアルテナに質問を投げる。
「残念ながら……いくら〝魔法〟でも、死者を生き返らせることは
「そうか、変なことを聞いたな……」
〝死人は生き返らない──〟
これは〝異世界〟でも共通なんだな。
「いいえ、
「アルテナほどじゃない」
俺はお世辞無しで返す。
するとそれが嬉しかったのか……
アルテナは少し顔を赤らめている。
(どう考えても俺がアルテナより優しいわけがないだろ?
理沙にもよく無愛想だとか言われたしな。
「ありがとうございます♪ そう言われると照れますが……/// やはり嬉しいですね♪」
まだ、ほんのり赤い頬でアルテナは嬉そうに笑う。
(ホント、反則級だな……この笑顔は……)
「あ、それとこれを受け取ってください♪ 異世界への支度品と支度金です♪」
いつの間にか何処からか出した、支度品と支度金が入った袋をアルテナが渡してくる。
「いいのか? かなり助かるが……」
「はい、勿論です♪ 本当にあまり多くはありませんがお使いください♪」
「ありがとう、助かるよ」
と、礼を言い袋の中を確かめる。
袋を開けてみると──
金貨10枚 銀貨20枚 銅賀30枚
それと〝銃が1丁〟と〝剣が1本〟入っていた。
「──銃? 普通の銃じゃないな?」
「はい、これは〝魔力銃〟です♪ その名の通り〝魔力〟を使って〝魔力弾〟を撃つ銃です。弾も魔力による〝魔力弾〟ですので、扱いに慣れれば威力や飛距離等も調整が効くので〝魔力〟の多い
アルテナは理由も添えて説明してくれる。
「これ自体は珍しいものではありませんが、最初はこちらを使ってください♪ 剣も特に珍しいものではなく、正直に申しますと……本当に良くも悪くも無い物ですが、これから行く異世界で手に合う物が見つかるまでは、よろしければこちらを使ってください♪」
「〝魔力銃〟か……面白そうだな? 剣もありがたく使わせてもらうよ」
手に合うものが見つかるまでか……
あまり珍しいものでも無いらしいし、見た感じは初期装備の少し上位互換ぐらいか?
正直、少し期待してしまったが、漫画とかで良くあるチート武器等は貰えたりしないのだろう。
「──後、通貨ですが、
そうなると、合わせて支度金で〝日本円換算〟で約102万3000千円もくれたのか?
魔王を倒す支度金と考えてはどうなのかは知らないが、初期費用としては多い方なんじゃないか?
「十分すぎるよ、ありがとう。他に必要な物やこのあとの金は自分で何とかする」
「はい、異世界にはギルドで魔物の討伐依頼や、物からの〝ドロップアイテム〟の換金等で、
「ドロップアイテムなんて物もあるのか? まるでゲームみたいだな? まあ、魔王や魔法の話を聞いた後で今更だが……」
それに元の世界と異世界は根本から違うと言ってたしな? ──なら、元いた世界の固定観念や下手な常識は、一度綺麗に全部捨てた方がよさそうだな。
「異世界のシステムを分かりやすくイメージして貰いますと、確かにそういうイメージは分かりやすいかもしれませんね──ちなみにレベルやスキルと言うのもありますよ♪」
「レベルにスキル? 本当に根本から違うんだな」
確かに安直に異世界というより、ゲームの世界と考える方が分かりやすいかもしれない。
──でも、死んだら生き返らなければ、セーブやロードも無い。ゲームとはあくまでも一つの例えだな。
「レベルは0~100で表されます。ちなみに100以上は数字的には表示されません♪」
「ん……数字的にはってことは強くはなってるのか? というか、レベルはどっかで見れるのか?」
「はい、そうなりますね♪ 〝レベル99〟までは具体的な数字が分かりますが──〝レベル100〟より上のレベルは〝100↑〟としか表示されず、詳細は分からないという事になりますね♪」
例えば、同じ〝レベル100↑同士の者〟が戦ったとしても……実は倍以上の実力差があるかもしれないと言うことか?
「まあ、100以上の方など滅多にいませんが、自分のレベルやスキルを見たい時は、異世界に行ったら魔力を使って意識を集中し、指をスライドして見てください♪ 後〝アイテムストレージ〟のスキルを獲得してれば、それもそこで見れますよ♪」
サラっとアルテナは重要な情報も教えてくる。
「〝アイテムストレージ〟? それは荷物や武器を収納できるやつだよな?」
(というか〝アイテムストレージ〟はスキル扱いになるんだな。イメージ的には空間系のスキルか……?)
「はい、そうですよ♪」
まあ、そのまんまなのだろう……
〝スキル〟だってことには驚きだが。
「それとスキルは人によって様々です♪ 同じスキルでも効果の量が違ったり自分との相性もあります♪ 少しのレベル差よりも〝高性能なスキル〟を持ってるかのが、重要と言っても言いかもしれませんね♪」
なるほど。ただレベルが高ければ良いワケでは無く、スキルや何だで、どうとでもなると言う事か──
*
──その後も、俺はある程度の基礎知識をアルテナから説明を受ける。
「大方の説明は以上です♪ 後は、異世界で実践をして貰った方が分かりやすいと思いますよ♪」
「ありがとう。一通りは理解した」
(まだ実践して見ないと分からない事はあるが、ホントに必要最低限の知識は覚えられたとは思う……)
「あ、それと……♪」
すると、急にアルテナが女性らしい良い香りを撒き散らしながら──ふわりと優しく抱きついてくる。
「──ッ……!?」
急の事に俺は少し驚く。
それに何か色々柔らかいし……
めちゃくちゃ良い香りがする。
後、やっぱとにかく色々と柔らかい!
「では、お気を付けて行ってきてください。どうか世界をよろしくお願いしますね──陰ながら
耳元で包まれるような優しい声で……
でも、何処か申し訳なさそうに──
そして心の底から明るい声で応援してくれる。
アルテナが俺から離れると……
俺の首にアクセサリーのような物が下げられてる。
「これは……くれるのか?」
これで『あげません♪』と言われたら、流石に俺でも凹むような渡し方だったが、念の為に聞いておく。
「はい、私の
よかった……くれるみたいだ。
「ありがとう。大事にするよ」
(神様から直接お守りを貰うのは初だな……強化やスキルとかは無いらしいが、ご利益は凄まじそうだな)
「どういたしまして♪ ──では、名残惜しいですが、異世界まで送らせてもらいますね♪」
アルテナは俺の背後に朝と同じ〝
「ああ、いろいろありがとな」
これはアルテナの人柄だろう。今日会ったばかりなのに、俺も何だか名残惜しさを感じる。
「じゃあ、行ってくるよ」
「はい、お気をつけて♪」
〝光の渦〟へと、今回はゆっくりと吸い込まれていく。そうして〝光の渦〟に吸い込まれていく
「──
アルテナは少しイタズラ気な笑顔で笑う。
「ああ、勿論だ、また会おうぜ。約束だ──!」
そう言い終わると、俺は最後まで優しく微笑むアルテナに見送られながら、本日2度目となる〝光の渦〟に吸い込まれ、遥か遠くの異世界へと旅立つのだった──。
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