生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました
雪乃カナ
プロローグ
外は晴天。夏の日差しが窓から射し込める。
まだ少し眠たげな様子で、孤児院の自室のベッドから起き上がりながら、16歳にしては何処か少し大人びた雰囲気の黒髪の少年──
「退屈だな……」
そう呟いた瞬間、部屋全体が光の渦に包まれる。
「──!? なんだ? これ……」
見慣れた自分の部屋が、謎に渦巻く光の渦に包まれるという摩訶不思議な現象に流石に驚いていると……
──バタバタバタ!
部屋の外から誰かが
「は……何、この光……ちょっと
同じ孤児院に住む幼馴染みの声だ。
恐らく、朝食の時間になっても、
「てか、眩しっ!
理沙がドアノブに手をかける
「──
俺はそれ以上の言葉を発する間も無く──
そして理沙によって、部屋のドアが開かれる前に、俺はあっという間に光の渦へと吸い込まれていった。
*
時を遡ること少し前。
──孤児院の台所──
炊きたてのごはんと味噌汁、これぞ日本の朝食と言わんばかりの良い香りが台所に漂っている。そしてこの孤児院の今週の
「これでよしっと!」
すると、背後から聞き慣れた声が聞こえてくる。
「理沙
中学生ぐらいの女の子と、その後ろに小学生ぐらいの男女が台所に入ってくる。孤児院の子達だ。
どうやら、自分達の分担仕事が終わると、
お腹を空かせて、こちらの様子を見に来たらしい。
「ご苦労様、ご飯もできてるよ。後は運ぶだけだから手伝ってね? それと
「え、
はぁ、まったくもう……
「ごめん。私、ちょっと
「はーい。了解! ごっはん♪ ごっはん♪」
ご機嫌に鼻唄を歌いながら、可愛らしい笑顔で頼みを了承してくれる。
理沙は「じゃあ宜しくね」と言い残し、
(全く、毎回いつまで寝てるのだろう……)
これではせっかく作った朝食が冷めてしまうではないか、部屋に着いたら少し怒ってやろう──!
そう思うと少し楽しくなってきた。
バタバタバタ! と、駆け足で
「は……何、この光……ちょっと
よく見ると、その光は
「てか、眩しっ!
すると中から珍しく焦った声で返事が返ってくる。
「──理沙か!? 流石に様子が変だ! 来るな!」
そうは言われても、この状況ではドアを開けざるを得なく、理沙はガチャッと部屋のドアを開けるが……
──そこに、
「…………へ……いない? え、何……どういうこと……部屋の中から
現状の整理ができず理沙は頭を抱え、焦る……
「取り敢えず……こういう時は、まず
慌ててポケットから、携帯電話を取り出し、
通話履歴から牧野へと電話をかける。
だが、数秒たっても、全然呼び出さない携帯電話に違和感を感じ、携帯の画面を見てみると……
──圏外になっている。
……は? ……圏外!?
(もう、何でこのタイミングで……!)
そして画面には
──電波を阻害しています♪
女神アルテナより──と。
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