怪物揺光譚

黒鵜 静奈

第1部 怪物忌譚

プロローグ

 

 戦が、あった。


 オレも、それに参加した。


 人が、大勢死んだ。


 それでも戦いの果てに、敵を倒した。


 敵の首謀者は、死んだ。


 オレが、殺した。


 オレには、それだけの力があった。


 それでも、仲間は死んだ。


 真の仲間と言える、大切な者達が死んだ。


 守れなかった。


 それだけの力があったのにもかかわらず。


 殺したも、同然だ。


 最愛の人も、死んだ。


 守れなかった。


 殺したも、同然だ。


 オレだけが、生き残った。


 それも。


 最愛の人の身体を利用して。


 あぁ、そうか。今ならわかる。


 人はソレを、『怪物ばけもの』と、呼ぶのだ――。

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