第1話 ヤンデレラ×3
「好きよ。殺したいほど」
「だ〜いすき♪ 毎日500通はメッセ送るからね!」
「…………ふひっ」
正座した僕の目の前でそんな事を言う三人の美少女。
黒髪ロングのモデル体型にブラウンサイドテールの巨乳。そしてロリ。
「いや、だからですね? 僕には好きな人がいるって言いましたよね?」
何度も言った。なんなら昨日も言った。それなのにこれだ。なんで?
「知ってるわ。私よね? まさか違うなんて言わないわよね?」
「違う」
「……今ある貯金でお墓買えたかしら」
リアルな計画やめて。
「もうっ! そんなわけないでしょ? ねぇ拓真くん。好きなのってボクだよね? もちろんだよね?」
「違う」
「………………」
ポコンポコンポコン──
ひぃっ!? 無言で病みスタンプ連続で送ってくるのやめて!
「……あ……」
「違う」
「あぁぁぁぁぁっ!!!!!」
白目剥いて叫ばないで!? 怖い怖い怖い!
「でもまぁいいわ。必ず好きにさせてみせるから。ね? 拓真」
一人はそう言って僕の右腕に抱きつき、頬を指でツーっとなぞってくる。ゾワッとする。
「ボクの愛を受け止めてくれるのは拓真くんしかいないの。ほら、こんなにドキドキしてる」
二人目はそう言いながら僕の左手を掴み、自身の豊満すぎる胸に押し付ける。そしてその谷間に埋まっていく。ドキドキしてるかなんて全然わからない。
「スゥー……クンクン、クンクン……ンんっ! 〜〜っ!あぁ……っ!」
三人目は僕の胸元に顔を擦り付け、鼻をスンスン鳴らしながら匂いを嗅いで恍惚の表情を浮かべている。鳥肌が立つ。
もうホントにやめて欲しい。
確かに僕は漫画やアニメのハーレム展開が大好きだ。いつも「ちょっと主人公その場所変わってよ!」って思ってる程に。
だってそうでしょ? 好きな人だけじゃなく、他の魅力的な女の子から好意を持たれるなんて最高じゃない。
そして今の僕のこの状況はハーレムと言ってもいいかもしれない。
だけど……だけどさぁ!
僕が憧れたハーレムは、照れたりドキドキしたりすれ違ったり空回ったりさりげなく想いを伝えたりするハーレムなんだよ!
脅されたり粘着されたり変態行為をされるヤンデレハーレムじゃないんだよ!
……ふぅ。
さて、心の中で叫んで冷静さを取り戻したところで説明しようかな。
なぜこんなことになったのかを。
そう、全ての始まりはあの日の放課後。
僕、
あの時、「いいよ」なんて言わなければ──
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