第9話 本題!?

「一年の3学期、寝ている横を歩いたら机の上のスマホが見えたの。投稿画面が」

 エッ! ビックリの連続、あと1回驚いたら心臓が止まるね。


「サイトを検索したら見つけたからブックマークしたわ」

 数万PVの読者がいてもネットの話で、口外してないから大丈夫だと思ったら、同じクラスに読者さんがいるとは。


「ずっと読んでいます」

 ご愛読ありがとうございます。


「叔父さんに『高校で長いSFを投稿している子がいる』と教えたの」

 なぜ僕の小説を教える必要があるの?


 叔父さんが痺れを切らせたように話し始める。

「相手を驚かせるのも練習になるが限度があるだろう。本題に入れないだろう?」

 叔父さんはポケットの名刺入れから1枚抜いて差し出した。


 『世界企画 編集長』それとツイッター、インスタのアドレスが印刷されている。

 名刺なのに名前がないけど。


「合宿所を作る計画がある」

 合宿所?


「叔父さんは話を端折りすぎ、私から説明するね」

 彼女の説明も乱暴だけど、叔父さんよりマシかも。


「日本の漫画は世界レベルでしょう? 漫画が世界を席巻しているのに、日本の小説はマイナーよね」

 それは否定しません。でも何故ここでカルチャー論?


「叔父さんは考えたの、環境の違いを」


「環境の違い?」


「漫画家はデビューまで有名な漫画家のアシをして経験を積むよね?」


「そんな漫画を何冊も読んだ気がする」


「小説家も昔は書生から始めて、高名な小説家の世話の元で勉強したみたい」


「書生? 昭和初期のお話では」


「書生になれとは言っていません」

 お願いしていません、受験生だし。


「叔父さんは小説家を志す人の環境作りを考えているの。私は候補生の一人目」

 彼女は小説家を目指しているの? 物語を読んだことないけど。


 表情を読み取ったのか、彼女が補足する。

「私も勉強の合間に小説を書いて、短編をカクヨムに投稿しています。『小説家になろう』は長編の異世界転生ものばかりで、私にはあんな変な世界は書けません」

 その発言『小説家になろう』の作者と読者を敵に回したと思いますが。


「話が逸れたけど合宿所に入れば大学に通いながら小説の勉強も出来て、住居光熱費は無料。こんなに至れり尽くせりの話はないとは思わない?」

 良いお話だと思いますが、美味しい話には裏があるよね?

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