第32話 今年最後だと思った?12月31日
たまったカクヨム小説を読み、ブログを書いているうちに日がかわったらしい。新年の幕が切って落とされた。いや、競争ではないけれど。
九乃カナはカレンダーを気にしないどころか時計を気にしない生活を送っている。初日の出も次の日の出も同じ意味しかもたない。元日も2月29日もちがいはない。曜日にも意味を感じない。買い物に行く日を認識するために火曜日と金曜日を利用するくらいのもの。ゴミの収集も同じ曜日だ。
8時半に目覚ましをセットしているけれど、すぐに起きることはない。伸びをしたり肩をもんだり、ごろごろして、たまに二度寝してしまったり。
起きてもツイッターをチェックしてカクヨムの通知もチェックして、メールもチェックしてとやっていると30分、1時間すぐに過ぎてしまう。
顔を洗って食事して歯を磨けば11時だ。九乃カナの午前はほとんどそんな風に過ぎてゆく。時間を気にしないから気にしないのだ。
新年になったことを花火で知った。なにか特別な年だったっけ。毎年花火をあげることになっていたかな。
怪しんで外に出てみた。花火ではなかった。陰陽師が悪魔を退治していた。悪魔が消滅するときに派手な音がするらしい。そんな術なのかな。
そんな世界だってことでよいのか、リアルタイム。
逃亡生活から家に帰って調べたことによって、彗星の落下場所がわかり、すると例の城の位置も特定できた。無月さんと車で逃げたルートもおおよそ見当がついた。
読者に総集編をお送りしている間も九乃カナは調べものをしていたのだ。えらい。
悪魔が掃討されたら、事件の捜査を安全にすることができるようになる。
寝て起きたら日付が変わる。九乃カナ時間のね。世間は人出が少ないだろうと予想、電車で出かけてみた。都会へ出て山手線に乗り込む。空いておる。
みんなが出勤なんてしなければこんなに空いているのだ。出勤がどれほど無駄なことなのか、政府も会社もよく考えたらよい。無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ! ディオになってみた。文字数を稼ぎたかったわけではない。どうせだらだら書いていたら10万文字になることだろう。あまり心配していない。
物語としてどうやって収集をつけるかも心配していない。最後は坂井令和(れいな)さんが名探偵として登場してさっと鮮やかに事件を解決して物語を終えてくれるはず。そう信じてる。信じてるからぁ! ちょっと映画のシーンぽくしてみた。
ドアの前に立ってぼおっと外を眺める。どこかの駅に止まって反対側のドアが開いた。目の前に別の電車も止まって、同じように外を眺めてぼおっとしている人と目が合った。知っている人だと言う気がした。でも知らない人だ。
知らない人なのに知っている気がする。デジャブなのか。前前前世の記憶なのか。記憶やデータが消えると言うのはずいぶんおかしな話ではないのか。
思いが駆け巡って、反対のドアからホームへ出ていた。きっと向こうも電車を降りたはず。階段へ駆けつけ、おりる。段が細かすぎる。足をちょこちょこと動かさないといけない。一段飛ばしで降りるのはキケンだし、イラッとくる。子供でものぼりおりしやすいようにってことなのだろうけれど。
反対側のホームへ駆けつけたけれど、知っているけれど知らない人は見当たらなかった。もしやと思ってさっき電車をおりたホームに目を走らせたけれど、やっぱりいなかった。
気のせいだったか。向こうは知っているって気分にはならなかったのだろう。だいたい、人の顔を覚えない九乃カナが知っている気がするって言うのがおかしかったのだ。
せっかく電車をおりたし、近くをぶらつくことにして駅を出た。家を出たときはくもっていたのが、今は青空が見える。そろそろお腹がすいたし、お店にはいって食べるか、なにか売っている店があれば買って食べるのもよい。
きょろきょろしながら歩いていたら、あまりお店がありそうにない地域に差し掛かった。上り坂になっていて、そのまままっすぐのぼっていく道と、左に曲がって階段をゆくのと交わったところで立ち止まる。どちらへ行こうか。まっすぐいっても店はなさそうだから、階段を上がって視線を高くし、どこへ向かうか決めるのがよいか。
階段に足をかけると、頭上にひとがやってきた。階段を降りてこようとしている。うん、これは丸パクリだな。知っている。観たし読んだ。
九乃カナは階段をのぼってゆく。筋肉痛はよくなっている。すれちがい立ち止まる。振り返ると、向こうも振り返った。
「君の名は?」
「あの、どこかでお会いしました?」
「そこは君の名は、じゃないのかよ」
突っ込んでしまった。つい押しつけがましくしてしまうのだな、僕の悪い癖(右京さん)。
「自分は無月兄です」
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