第2話 お薦めの書『グローバル・ヒストリー』

 異世界設定のノウハウを語る前に一冊紹介します。

 この本読んだら、犬単于の講釈なんて聞く必要はないと思いますw


  『グローバル・ヒストリー』

  妹尾達彦著/中央大学出版部2018年

  277頁・B5ソフトカバー

  本体3,000円+税


 別に異世界設定やRPGの為に執筆された本ではありません。恐らく、歴史学などの授業の教科書でしょう。

 出版社の紹介を以下の通り丸々コピペします。


 従来とは異なる見方で人類の歴史を読み解き、人類共生の道を求める21世紀の世界史教科書。 内陸部から沿海部に交通の幹線が移動することによって、人類の政治や軍事、経済、社会の組織、 宗教、思想のあり方が大きく変貌していき、現代世界がつくられていくことを、豊富な図を駆使して体系 的かつ具体的に論じる。前3000年紀における都市と国家の形成から今日までの世界の歴史を読み 解く鍵は、交通史と都市史にある。ユーラシア大陸東部の歴史を一つのモデルとして世界史の構造を さぐり、21世紀の混沌を生きる人々に新しい歴史像を提供する。


 自分としては、これ以上説明することは思いつかないんですが、敢えて幾つか補足しておきます。


 「ユーラシア大陸東部の歴史を一つのモデル」とあります。

 著者の御専門は隋唐の都市史・環境史です。なのでユーラシア大陸東部、いわゆる中国が中心になります。

 しかし、『グローバル・ヒストリー』は世界の歴史的な都市もカバーしています。その比較図なんて見ているだけでゾクゾクしてきます。「ファンタジー世界の都市をどの程度の規模にすべきか?」という問いに、大いに参考になるでしょう。

 中世ヨーロッパ的なファンタジー目指してる方が多いと思いますが、中国風、日本風、中近東風など様々な異世界設定をする上で非常に参考になると思います。


 紹介文に「交通の幹線が移動することによって、人類の政治や軍事、経済、社会の組織、 宗教、思想のあり方が大きく変貌」と有ります。

 ここでは環境や経済がどのように社会や文化を発展させ、宗教や哲学を生み出していくのかが判り易く説明されています。これを呑み込んで設定を創り上げる作業は、実際には難しいんですが、非常に重要なポイントだと思います。


 まぁ自分のヘタな説明を聞くよりも、『グローバル・ヒストリー』を入手して読むのが一番です。

 異世界設定好きな人には、高校で世界史履修した方が多いかと推察します。世界史の教科書とか参考の歴史地図集とかも、世界設定構築に大いに役立ちます。

 高校時代の教科書とか参考書に飽き足らなくなった人には、妹尾先生の『グローバル・ヒストリー』は是非お薦めの一書であります。


 この本読んで詰まらないと思う人がいたら、その人は世界設定創りに向いてないんでしょう。さもなければ、「その程度のレベル」をとっくに修了した御仁なんでしょう。

 後者の様な方は、犬単于の講釈なんて馬鹿馬鹿しくて聞いていられないでしょうw

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