第5話 新興宗教団体視点

我々は、古の儀式を行う事で様々な災いをおさめてきた。古の儀式に、たくさんの生贄が必要なのだ。生贄を差し出さなくては、災いを跳ね除ける事が出来ないのだ。

例の奴はまだ捕まらんのか。

あいつが、我々の儀式の生贄に選ばれたのだ。やつの血が必要だ。早くあいつを捕まえて来い。

あの、場所には奴の血が必要なのだ。

もうすぐで酷い災いが起こる。

幹部達は、生贄となった春日井を探して慌てていた。必ず捕まえなくてはならない。ただそれだけだった。

春日井さん、あのよかったらうちのセミナーに参加して頂けませんか?

「春日井」

いいえ。間に合ってます。

宗教とか興味無いので。

「幹部」

そんなこと言わずに、お願いしますよ。

絶対に損はさせないですから。

「春日井」

何度言われても無理ですよ。

行きませんから。

そう言うと、春日井は歩き始めた。

「幹部」

おい、やれ。

幹部の1人が仲間にそう言った。

「幹部」

手荒な真似はしたくはないけど、仕方がない事だ。これも教祖様が決めた事だからな。

悪く思うなよ。

春日井さんは、複数の喪服姿の奴らに拐われたのだ。

そして、教団のある病院へ運ばれて行った。

「幹部」

全て計画通り。

後は生贄を捧げるだけだ。

もう少しだ。

あの、古井戸は今も尚災いが起こる元凶に過ぎ無いのだ。

だからこそ生贄を捧げ、災いから守っているのだ。

古井戸には、御菊と言う名の娘が住み着いていると言われている。御菊は、生贄の血を捧げる事で怒りが静まるのだ。

もし、御菊の機嫌を損ねると

大地震が来たり、酷く干魃が起きて食糧難になると言われ、語り継がれている。

作物は枯れ、動物達も飢えて餓死すると言われている。

だからこそ生贄を捧げるのだ。

御菊の怒りは自然を壊すのだ。

また1人……また1人と生贄に捧げられるのだ。

私達宗教団体は、古の儀式を伝承し今に至るのだ。



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