必殺……あるぇ?
「どんな技を出すって言うんだ……」
アラタが戦慄している。
「必殺技って事は、筋肉の究極攻撃?」
アスカが怖がるようにみを縮み込ませた。
「いよいよ、筋肉の本気が見れるのですのね……」
シャルティがごくりと生唾を飲み込んだ。
「ちっ、せっかくの私の見せ所が……」
マリーロンが毒づいた。
「この筋肉の本気! 今が見せるとき!」
恐れることなく、ガオンが堂々とした出で立ちで前に進んだ。
召喚獣たちの群れに向かって、フロント・リラックスのポーズ。
そして両腕を持ち上げ、
「ぬぅんんんんん!」
上腕二頭筋を見せる。
フロント・ダブル・バイセップス!
続けて――
「はぁ! ふんんんんん!」
背中を向けて。背中の筋肉を見せる、
バック・ラット・スプレッドのポーズ!
どんどんガオンの迫力が増大し、力を溜め込んでいく。
そして、
上腕三頭筋を見せ付けるように、
サイド・トライセップス!
どんどんガオンの気配が、まるで筋肉の巨人になったのかと言うほどに強力な威圧感を放っていく。
「ぐぬぬぬぬぬ――あっ」
ブチッ! ブリリブリブリリリリリ! ブチチッ! ぷ~う……
「…………」
その異音はまるで、世界の時間を止めるに十分なほどの静寂を呼んだ。
その静寂の中で、嗅覚の鋭敏な動物型の召喚獣が、ぱたりぱたりと、異臭でその場に倒れて気絶した。
「…………」
無言のまま、ガオンがポーズを解いて、至極まじめな表情でこちらを向く。
くわっ! 目を見開きガオンが口を開いた。
「すなない、力みすぎた! ちょっと、トイレに行ってパンツを履き替えてくる!」
「「「…………」」」
そしてガオンが「うおおおおおおお――」と走り去っていった。
あまりの異臭に、みんなで鼻をつまむ。
ガオン――
「も、漏らすなあああああああああああ!」
俺は鼻をつまみながら全力で叫んだ。
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