Q クォンティ(国一番の魔女)
「クォンティ、お前は悪逆非道の魔女だ! 婚約は無論破棄、加えて今後死ぬまで国境の塔に幽閉することとする!」
「承知致しました。国境の塔へ参りましょう。では」
次の瞬間、クォンティはその場から消えた。
「な…… この結界が幾重にも掛けられた王宮から転移できるとは……」
瞬時にその情報が結界を作る魔道士達に伝達の魔法で伝えられる。
その合間を縫って、彼女の声がその場に響いた。
「ほほほほほほ。国境の塔とおっしゃるから私そこまで転移致しましたわ! 別に逃げる気はございませんわ。ここで悠々自適の生活を送らせていただきますわ!」
何だと、とわめく王子のもとに、確かに伝達の魔法は塔からだとその方面に強い魔道士が伝える。
「ああ実にいい景色! お隣の帝国の様子もよく見えること! さあここで私が一発大きな雷撃でも向こうに落としたらどうなりましょうね!」
ああ! とその時その場に居た王子以外の者が、皆気づき落胆した。
必要なものは「引き寄せ」で。
移動は転移で。
彼女はただ自由に誰の目も届かない場所を手に入れたのだった。
そして国一番の魔女は、国境に陣取ることによって、この決して大きくない王国の未来を質にとったのだった。
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