I アイリーン(大国から来た姫君)
「アイリーン姫、貴女との婚約は破棄する。事情は」
卒業パーティ会場。目の前で、この国の王太子が私に向かって言う。
「ええ、そこの頭悪そうな女に真実の愛とやらを見つけたからでしょう? そして今から貴方は言うのです。例えば彼女の持ち物を取り上げたとか階段から突き落としたとか足を引っかけたとか教科書を破いたとかノートに落書きをしたたとか、黒板に嫌がらせの文句を書いたとか教室の扉に水を入れたバケツをつけておいたとか」
「く…… 何故それを」
「調べはついておりますわ。用意したのはこの女。さあ証拠を」
ずらりと私の護衛達が証拠を手に並ぶ。
彼も知っているはずだ。
大国との友好関係のための婚約の時に紹介されているのだから。
私が自国から引き連れた護衛達は、理路整然と自作自演の証拠を突きつけた。
「そもそも私に暇はありませんわ。この人数を率いて王妃教育を分刻みでしてきたのですから。目立って仕方がないじゃないですか。ああ馬鹿馬鹿しい」
私は護衛達に「帰るわよ」と言った。
帰れば国交は決裂だ。
こんな小国は簡単に潰せるというのに。馬鹿な王太子のせいでこの国はおしまいだ。
まあ失われる国の文化を知れたのは面白かったけれど。
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