記憶を失った聖女は、婚約者を跪かせる。
結咲さくら
第1話
「アナ」
どこかで誰かが【私】の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「目を覚ましてくれ!アナスタシア」
(アナ?アナスタシアって?)
(そもそもどうしてそんな哀しそうな声で呼ぶの?)
ひとまず私は声の主を安心させるために目蓋を開こうとした。しかし何やら目覚めたいにもかかわらず身体が私の意志を拒絶する。
「俺が悪かった。君を独りにしたばっかりに君はこんな馬鹿げたことをしたんだ」
そんな私を他所に声の主は脳内でよく分からない悲劇的な妄想劇場を繰り広げているようだ。
(やばいわ、早く起きないととんでもない事になりそう)
意を決して私は再び目蓋を開こうとする。
すると先ほどとは打って変わって簡単に目の前の情景を映すべく目蓋は開いた。
(良かった。今度はうまくいったみたいね。それよりも…この人は誰?)
目を覚まして一番先に目に映ったのは黒髪に紫色の瞳を持つ端正な容姿をしているが、どこか抜けていそうな青年の姿だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます