第187話 見間違えだろう? (1)

「痛、痛たた、骨の骨が折れてなければいいけれど……」


 僕は自身の顔を上げ、空を見上げながら。


 そう、自身の鼻から出る。


 垂れる鼻血を止めようと空を、ではなく。


 僕の元仕事のパートナーだった。


 でっ、今は、僕の新妻さまだったエルに、その座を盗られてしまった。


 マツダのボンゴ、カスタムエアロ仕様の天井を凝視しながら。


 自身の首をトントンと軽く手刀を入れながら、自身の鼻血を止めようと試みている。


 そんな僕の姿!


 惨めで哀愁漂う、僕の様子を運転席側から、心配そうな顔……。


 そう、自身の顔色を変えながら、覗き込むように見詰める翔子は、自身の口を開け。


「一樹、大丈夫? 痛く無い?」


 鼻血を止めようとしている僕に対して、優しく労りある声音で尋ねてくれたのだ。


「うん、大丈夫。ありがとう。翔子」


 僕の身体、傷口を労ってくれる翔子に僕は、お礼を告げると。


「もう、僕の事はいいから。大丈夫だから。翔子はお店に戻ってもいいよ」と。


 僕は再度、翔子へとお礼を告げ、彼女の仕事場に戻って良いよ。


 と、僕は再度、翔子へとお礼の言葉を告げたのだ。


「あのねぇ、一樹?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る