第160話 エルフな勇者さまとの、新婚生活が始まりました(4)

「えぇ、えええっ! 嘘ぉ、おおおっ! 嫌。嫌だよ。一樹ー! 私もお仕事。仕事について行く。行くよ。一樹ー! いいでしょう。あなた?」


 まあ、家の奥さまは、元勇者さま。その上、伯爵令嬢。一人娘ときている高貴な者。お姫さま。お嬢さまのようだから。商い。商売のことなどわからない。経験もない。物売り。売り子の経験もZEROだと、僕は昨晩エルから聞いていた。教えてもらっていたから。この家。アパートに置いておこう。留守番をさせようと思って、近所にあるブックとゲームの販売。レンタルビデオもしている。おこなっているブックセンター。本屋さんへといき。


 家の奥さまが暇を持て余さないようにと、5本でセット価格1000円のビデオをレンタルしたのだ。


 だから昨晩のエルは、「一樹~。明日~。一緒に仲良く。ビデオと呼ばれる。映画と言う物をみようね~」と。


 御機嫌麗しく。上機嫌でニコニコと僕へと告げてきたのだ。


 だから僕は「うん」と、頷き返事を返したのだけれど。昨晩のことを思い出し。よく思案をしてみると。


 僕は妻に、エルに、明日お仕事。販売業。商いをしにいくのだと告げてはいない。説明をすることを、すっかりと忘れていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る