第156話 エルフな勇者さまは、クリスマスの飾りの艶やかさに驚愕!(19)

 自身の華奢指を指し。指しながら。夫の僕へと、更に急かすように指さし、訴えてくる。


 だから僕は、エルの指さす方向をジィ~ッと、見詰めたのだ。中にいるおじさんやお姉さん達。ダイハツのショップの店員。会社員の人達が、店内から僕達夫婦のことを怪訝な表情で見詰めてこようがお構い無し。無しに、だ。


 僕は注意深く店内。ショップ内を観察したのだ。


 すると、「あっ?」と、僕が驚嘆を漏らす物が目に映ったのだ。


 そう、もう直ぐ大晦日。今年も終わり来年。新年がやってくる前にある行事──。


 そう。恋人、妻、家族、子供がいれば大晦日とハッピーニューイヤー前にある一大イベント。クリスマスに飾る。煌びやかに飾られ、光輝いている神々しい。【クリスマスツリー】を見て驚愕。驚嘆を漏らしたみたいなのだ。


「えっ? もしかして、エルが先程見て驚愕をしたのは、あのキラキラ光り輝いている【クリスマスツリー】なのかな?」と。


 僕は、自身の首を傾げながらエルへと問う。


「……ん? あれ? あの? 飾られたキラキラ光る木は【クリスマスツリー】って言うんだ。一樹?」


 エルが僕へとクリスマスツリーを指さし、見ながら問いかけてきたので「うん」と、頷いた僕だったのだ。


「えっ? もしかして? エルの産まれ故郷。お星さまでは、クリスマスに。クリスマスツリーを飾らないの?」と。


 僕は後で思案。今この令和の時代になって良く思案をしても、エルの産まれ育った世界にキリスト教がある訳でもない。ないのにね。訳解らない言葉を妻に告げた。問いかけたと思う。


 だってクリスマスは、キリストの生誕を祝うお祭り。祭典だからね。でも、あの時の僕は無知、知識がないから。【クリスマス】イコール。美味しい物を恋人同士や友人、知人達。家族団欒で和気藹々しながら食べたり。恋人がいる者達はプレゼントを愛する人に優しく手渡す。とか、友人、知人同士でプレゼントの交換するのと。


 小さい頃の自分達ならば、クリスマスイブの夜、睡眠に入る前に『ソワソワ』、動揺をして眠れない。


 そう。『今年もサンタさんがくるだろうか?』と、脳裏で思う。呟けば。中々寝付くことができない日のクリスマスイブと翌朝のクリスマス。朝起きたらおもちゃ。その当時の流行りのロボットアニメや特撮ヒーロー達の、ロボットの容姿をした超合金のおもちゃが置いていないかワクワク、ドキドキ、胸を高鳴らせる日、イベントぐらいにしか思っていなかった僕だから。こんな訳解らない言葉、台詞を妻へと告げてしまったのだ。


 まあ、エル自身もこの時は、【クリスマス】がどう言う物。何を祭り、祝うものかを知らないから素直に、屁理屈なしに。


「うぅん、しない。飾らないよ。一樹……と、言うか? 私の産まれ育った世界には、そもそもクリスマスなんてお祭り。行事。祭典もないからね」と。


 エルは自身の頭を軽く振りながら僕へと教えてくれた。説明をしてくれたから。


「へぇ~。そうなんだ?」と、答えた僕だった。


 それも、【クリスマスツリー】を凝視しながらねぇ。



 ◇◇◇◇◇

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