第63話 誤解?(9)

 まあ、やっと家のひと……。陛下の口からね。絶叫と私へと許しを乞う台詞だけではなく。陛下が私へと犯した大罪に対して責任をとる。罪を償ってくれると。


 そう、この勇者であったエルの事を妃として、自身の許へと向かい入れるから許して欲しいと告げてきた。


 陛下は断末魔と共にね。


 だから陛下は他界しちゃったって。


 ……ん? あれ?


 陛下が断末魔をあげるって、一体どう言う事なのかしら、じゃないよね?


 私は陛下の断末魔の台詞を聞いてはいけないのではないだろうか?


 だって陛下の断末魔が私の耳へと聞こえると言う頃は?


 私が陛下の首を絞め殺してしまったと言う事になるから。


 私は新婚早々から未亡人になってしまったと言う事になるよね?


 だから私は不味い!


 不味いわよ!


 一体どうしよう?


 どうしましょう?


 まあ、取り敢えず、これ以上陛下の首を絞める行為は辞めていよう!


 そうしよう!


 そうしましょう!


 私勇者エルは困惑しながら思うのだが。


 先程陛下の首からグギ! ボキ! と、大変に良い音がしたと同時に。陛下が妃である私に対しての抵抗──。


 それも大暴れ! 抗う行為がピタリと止んだ!


 でッ、その後は、私の陛下の身体は力無く。だらり、だらだらとして。先程まで感じていた魔力も完全に抜けている廃人状態になっているようだから。


 う~ん、どうやら? 私の陛下は他界をしたようだから。


 私はこの手のお約束通りに。


「えぇ、えええっ! 陛下―! あなたぁ、あああっ! 起きてよー! 起きてぇえええっ! 頼むからぁあああっ!」と絶叫を放つ!


 それも私は、御近所様達から。


「近所迷惑だ! 静かにしろ!」


「いい加減にしろ!」


「御宅? そんな大声で夫婦喧嘩をしてもらうと。本当に困る。困るよ……。そして近所迷惑だかから。以後しないように」と。


 私は屋敷の玄関をドンドン! と荒々しく叩かれ、叱られてしまう程の大きな声を出しつつ、陛下の身体を揺すりながら起こしてみたのだが。


 私の陛下の身体はやはり、ピクリ! とも動かいな状態だから。


 元勇者であり! 新妻でもある私は、早くも未亡人になりかねない状態へと陥っているので御座います。


 ◇◇◇

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